Colorful stories 11（W.短編集）

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「おい、小瀧」
「…⁉︎」

めっちゃドスの効いた声。
顔を上げると、ドアから覗く、初めて見る怒った顔の先輩。


「離れろや」
「へぇ、恩人にそんなこと言うてええの？ねぇ、流星」
「望。神ちゃんにしげの本性バラしたら？」
「ええなぁ、それ」

「神ちゃん、しげな？「あ゛〜〜〜！！！」

「入学式で「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ！！！」

「うるさいっ！笑」


本性…確かに初めて見る、こんな先輩。
ちょっと子どもっぽくて、はしゃぐとこなんて、見たことなかった。


「のんちゃん、」
「待って！ほんなら自分で言うから！」


後ろからしげを捕まえてた藤井先輩が、重岡先輩を解放すると、
のんちゃんを押し除けて俺の前に座った。


「入学式の時、俺、神山くんに一目惚れした」
「え、？」


言葉の意味が飲み込めなくて、きっと、めっちゃ間抜けな顔してたはず。


「けど、告白する勇気なくて。とりあえず兄弟から始めたいなぁって」

「そのうち意識してくれへんかなぁって、」

「けど、神山くんがあんまりかわいい反応してくれるから、俺脈あるんちゃうかなってちょっとだけ期待してた」

「傷ついてなんかない、一個もない！」

「神山くんが困った顔するたびに、うまく返事できひんたびに、俺に勇気くれてた」

「俺のこと、好きなんやないかなって、合図かなぁって」


きっと図星。
のんちゃんのおかげで気づいてしまった恋心、先輩に先にバレてたなんて、恥ずかしい…


「俺、神山くんのこと、好き」

「神山くんよりずっと先に、とっくに好きになってた」

「なぁ、お兄ちゃんじゃ足りひん」

「神山くんの恋人になりたい」

「付き合ってください」


あの時とおんなじ。
真っ直ぐな重岡先輩。
差し出された手を、ぎゅっと握ると、
重岡先輩は顔を下げたまんま、

「っっっしゃぁ！！！」

叫ぶと、ぎゅーっと抱きしめられた。

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