Colorful stories 11（W.短編集）

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「ダブルデートやぁ」
ってはしゃいでたのんちゃんには悪いけど…


“すみません。用事ができたので、今日行けなくなりました。”

集合時間の5分前に重岡先輩にメールを送る。
画面を閉じる前に、すぐに既読がついて、


“残念。また今度行こうな！”


疑いもしない重岡先の真っ直ぐさ。
やっぱり俺には俺には眩しすぎるなぁなんて、再確認して苦しくなる。


返事なんて、できるわけない。
今日で終わりやもん。ええよな？


先輩には、先輩にふさわしい子がいる。
今日、藤井先輩とのんちゃんの関係見てたら、それに気付くはず。


スマホの画面を落として布団にに潜り込むと同時に震えるスマホ。
ずっと鳴り続けてる。きっとのんちゃんからの電話やろう。
じわっと熱くなる目元を枕に押し付けた。





コンコンッ
コンコンッ


音がして、目が覚めた。
泣き疲れて寝てたらしい。


ノックするのは、オカンかおねえ。


「はぁい」

「ええよー、なに？」


ドアの音はしたのに、足音は近づいてこない。


布団にくるまったまま。
寝返りを打ってドアを見ると、そこには眉毛をこれでもかと下げたのんちゃん。


「神ちゃん」
「…ごめん」
「謝るってことは、用事って嘘やんな？」
「あ」


ベッドに腰かけたのんちゃんに、座って向かい合う。


「なんで泣いてんの？」
「……」
「しげのこと？」
「…っ、」

俯こうとしたのに、のんちゃんは許してくれない。
目からほっぺを、細くて綺麗な指が拭ってくれる。

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