Colorful stories 11（W.短編集）

約束　2023.4.23 ページ38

祝・9周年🌈
緑side



「え、神ちゃん引っ越したん⁉︎」
「あ、うん。姫と王子にピッタリのマンションがあってな？空くの待っててん」


すらすら言えたのは、聞かれた時のために何回も心の中でリハしてたから。


「え〜！送りの車、逆やんかぁ」
「しげちゃんと二人やなぁ」
「神ちゃん、ドンマイ。笑」
「コイツ、神ちゃんには弱いから大丈夫やろ」


ドキドキするけど、俺やって役者やもん。
呆れたように笑って誤魔化す。ここは演技力でカバー。



「俺、そんなうるさくないし！」

って騒がへんとことか、

「淳太ぁ、イジって欲しいんか！」

って淳太にウザ絡み行かへんとことか、

全然いつも通りちゃうし。笑
バレるなら、しげからやな。笑







長年の片思いが叶ったのは、年明けまであってた俺の舞台が終わった頃。


「見に行けへんでごめんな？」


ってしょんぼり言うたしげ。
映画もあったの知ってたし、


「全然全然！」

「しげ、忙しかったもんなぁ。お疲れさん」


普通に言うたつもりやってんけど。
てか、ほんまに特段不満とか寂しいとか思ってもなかってんけど。


「神ちゃんはさぁ…寂しくないん、？」
「え、？」


急に抱きしめられて


“好き”

そう言うてくれて。

そっから俺は恥ずかしいことに大号泣。

やって、ずっと好きやってんもん。
隠しておくつもりだった恋心は、しげの言葉で溢れ出してしまった。

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