Colorful stories 11（W.短編集）

君と涙と後悔と ページ16

「ラブソングを聴かせて」
社会人になった二人

赤side



やってしまった。
道を間違った。
まっすぐ行くつもりが、クセで左に曲がってしまった。
あれから一回も間違えてへんかったのに…
ここを通るつもりじゃなかったのに…







今朝、外回り中に見つけた、本日開店の新しいスイーツ店。
夕方通ってみれば、開店初日の売上は順調だったらしく、ショーケースに残るクレープは残りわずか。


バナナチョコクレープといちごカスタード、かな。
買うわけやない。
一緒に食べる相手はもういないのに、甘いもんなんてほんとは食べへんのに、
甘いもん見ると二つ選ぶクセはなかなか抜けない。


スイーツをうまそうに頬張る幸せそうな顔を思い浮かべてたら、無意識のうちに半年前まで住んでたアパートにたどり着いてた。






俺と過ごしていた頃そのままの、狭いベランダ。
洗濯物干しは相変わらず、俺が選んだアルミのやつ。
ほら、よかったやろ？やっぱこっちで。

カーテンも変わってない。

いつも隣に並んでた色違いのサンダル。
俺のやつは、もう捨ててもうた？



なんで君の話を聞かなかったのか。
なんですぐ、謝らへんかったのか。
なんで出てったのか。


俺の中での後悔は薄れないどころか、膨らむ一方なのに。
君は、俺と過ごした部屋に一人でいて平気なん？
それとも、もう、大切な誰かと一緒におんのかな。

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