Colorful stories 8（W.短編集）

魔法のせいにして（催眠術＃2） ページ21

緑side



「なぁ、なんで怒ってんの？」
「なんでわからんの⁉︎」
「俺、なんかした？」
「やから怒ってんねやろ！」
「まぁまぁ、しげちゃん。落ち着きって！」


ハマちゃんが間に入ってくれるけど、しげの怒りはおさまる気配がない。

もともとメンバーで喧嘩なんかせえへんし、しげが怒ってるとこなんて見た事ないし。
特に俺に怒るなんてありえへんかったこと…

必死に原因を探すけど、ほんまに心当たりがない。
けど、しげがこんなに一方的に怒りをぶつけるわけないから、俺、気づかんとひどいことしてもうたんやと思う。


頭の中では、さっき撮影した催眠術動画の流れが堂々巡りしていた。


「言うてくれなわからへん。しげ、悪いとこ直したいから、ちゃんと言うてや」

「…淳太のやつ」
「は？」
「ハグ…てかアレ、抱擁やん」

「…へ？」
「…は？覚えてへんの？神ちゃん、催眠かかってへんかったよな？」
「いや、覚えてるけど。なんで俺がそれで怒られなあかんの？」


ポカーン
開いた口が塞がらないとはこのこと。
間抜けな顔してるんは、自覚してる。
独特の感性にはやっぱついてかれへん、


「しげちゃん、もしかして」
「俺も思った。モンチ、気づいてへんのやろ」
「まじで⁉︎意味わからんしっ」

意味わからんのはこっちや！
お兄ちゃん組の言葉に、まじでうるさいしげの叫び。


「覚悟決めぇや」

ニヤニヤ照史と肩を抱かれるしげは、珍しく黙り込んでる。

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