水色

19 ページ19

起きたら、いつもと違う景色に、一瞬戸惑って思い出す。お隣さんやから、どんなに遅くなっても泊まる必要なかったし、何気にお泊まりは初めて。
リビングに行くと、飲んだグラスも片付けられてて、ソファにはしげが眠ってた。

ぶどう狩りは9時半に出る言うてたし…
時計を見て、それまでの行動を逆算する。

よし、シャワー浴びれる。
しげは、8時半に起こせばええやろ。
今から30分間の段取りを頭ん中でつけて、
そっと隣の自分の部屋に戻った。





「神ちゃん！おるん？神ちゃん！」

シャワーの音の向こうに聞こえる、しげの慌てた声。

「しげ〜、ここ！お風呂！」

シャワーを止めて、浴室のドアから上半身出して覗くと、脱衣所の前でしげが息を切らして立ってた。


「おはよぉ、昨日はごめんな？ベッド占領して」
「おったわぁ。急におらんくなるから焦った」
「なんでやねん、おるやろ。ぶどう狩り行くんやろ？昨日俺寝てもうて、シャワー浴びてへんかったし」

「じゃ、準備終わったら神ちゃん家来るから」


目を泳がせたしげが、そそくさと部屋を出てった。
　



昨日から何かとおかしなしげが気になるものの、まぁもともと変なヤツやし、恋して落ち着かへんのやろ。かわええヤツ。笑
なんて先輩風吹かせるも、自分は…すぐハマちゃんのことを思い出して泣きそうになる。いつまでも失恋に泣いて…悲劇のヒロイン気取りか。

あかんあかん、しげとぶどう狩り行くのに。
暗い気持ちは全部振り払って、とりあえず、化粧水を手に取った。

20→←18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す