Colorful stories 7（W．短編集）

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「ともくんは、なんでこっちに来たん？」


俺が気になって聞けなかったことを、小瀧はいとも簡単に聞いてしまった。
ぴたりとくっついて、なんならともくんが出してくれたアイス、

「いちご味、一口ちょうだい♡」

間接キスまでしやがって。
アホ犬め💢

イライラを隠せない俺を見てニヤニヤしてる流星にも腹が立つ。



「職場におられへんくなって。辞めて、逃げて来てん」


また、無理して笑う。
そしたら、俺の心臓も音を立てて軋んだ。


「ごめん、デリカシーなかった、」

素直に謝る小瀧に、ふわりと笑いかける。

「んーん。誰かに聞いて欲しかったんかも。話してもええ？」
「じゃあ、俺らに吐き出し？俺らはともくんの味方やで？」


ありがと、

涙声で震えてたけど、そう聞こえた。







「俺、バーの専属シンガーやってん」

さっきの澄んだ歌声を思い出す。

「そのバーの経営者の…社長、恋人でな。けど…社長とのことで悪い噂が流されてな？そんな歌手おっても、店にも社長にも迷惑かけるから、辞めて逃げて来た」
「けど、噂ってことは、事実無根なんやろ？」
「そんなん言うても、世間は信じてくれへんよ。彼は信じるて言うてくれたんやけど、彼には立場も、守るものもあるから」


“彼”という言葉に、むしゃくしゃしてる自分に驚く。
なんで繋ぎ止められへんかってん…
おんなじ男としての怒りが湧き上がる。


「しげ、そんな怒んなって」
「めちゃめちゃ怖いわ。珍しいな、そんな顔」

怒り、悲しみ…いろんな感情を堪えてきたんやろう。さっきの涙を思い出す。


「しげ、ありがとぉ。なんか俺より怒ってくれて嬉しいわ。でも自分で選んだ道やねん、大丈夫」

とても大丈夫には見えない不安げな瞳。
一人にしたくなくて。


「明日も来てええ？」
「また会えるん？嬉しい」


約束をして、その日は別れた。

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