Colorful stories 7（W．短編集）

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「お邪魔しまーす」

マネさんの車で一緒に帰ってきた俺ん家。
殺風景な玄関。俺の赤いスニーカーの隣に、派手なスニーカーがお行儀よく鎮座した。
神ちゃんが来た時ならではの風景。


「久々やなぁ、」


そう言うて、うちに足を踏み入れる様子は、不思議といつまでもぎこちない。
俺ん家にあがるのって、慣れないんやって。笑


それでも。
飯食って、風呂入って。
気ぃ遣わんと流れる、俺らの生活。
一緒にいた時間の長さを思わせる。




布団の中で、神ちゃんのペタペタ歩き回る足音を聞く。
俺より先にお風呂に入ったくせに、その後が長い。
あの白くてもちもちの肌と柔らかな髪はこうして作られるんやなぁなんて、誰も知らない姿を見てる優越感。


「おじゃましまーす」

俺の隣に滑り込んできて、ゴソゴソ体制を整えると、こっちを向いた。
向かい合って、何てことない話をする神ちゃん。

神ちゃんの柔らかな匂いと、優しい空気に包まれて、昨日まで眠れなくて悩んでたのが嘘かのように、あっという間に眠りについた。







何か聞こえた気がして、ふっと意識が浮上した。
すぐ近くで聞こえる鼻を啜る音。微かに震える体。

神ちゃん…
泣いてる…？


目を開けようか、
声をかけようか、

迷っていると、ベッドが軋む音がした。
おでこに触れた感覚、ぽかぽかの手が俺の前髪を掻き分けて、頬にふれた。


「しげ……」


掠れた声で呟いて、おでこに感じた柔らかな感触。綺麗に響いたリップ音。
心臓が速まる。

驚きで完全に目覚めたのに、目を開けることなんてできなくて。必死に寝てるフリを続けながら、そっとベッドから出て行く音を、そのまま聞いていた。

3→←Lullaby on the bed

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