Colorful stories 5 （W.短編集）

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「え…車…」
「俺ら乗らへんて言うてあるから」

シゲに連れられて着いたのは、正面出入り口。
つい立ち止まってしまう。

「飯、行こ？この前、メンバーとのご飯邪魔したから、今日は俺の奢りな？」
「えー！ケチなんに奢ってくれるん？笑」
「堅実言うて！そら、神ちゃんは特別やから。何食べたい？」

サラリとそんなこと言うてくるシゲに、腹が立つ。けど、振り回されるのも正直悪くないと思い始めてる自分がいる。


「シゲがよう行く言うてたラーメン屋さん連れてって？」
「奢る言うてんのに、この子ぉは、」
「シゲの行きつけに行きたいねんもん」

シゲの大人な一面に、つい甘えてしまう。

「っ、行こか」

肩のふれる距離で並んで歩き始めると、ふと目に入った雑貨屋さん。

「シゲ、ちょっとここ、寄ってええ？」
「ひゃぁ！今の彼女感！昇天しそうや！」
「シゲ、うるさい」

チョケてくれて助かった。
真顔で言われたら、俺ヤバかったかも、
ほてる顔を隠すように、さっさと店に入った。


入り口付近でキョーミなさそうにウロウロしてるシゲを放って、レジに向かう。シゲが喜ぶ姿を思い浮かべると、くすぐったい。

「何買ったん？」
「ないしょ」
「神ちゃんのことやから、おしゃれ〜なん買ってんやろ？」
「そうねぇ、かわええやつ」

シゲを見上げると、優しい顔して笑ってくれる。のに、すぐ逸らされる瞳。
寂しい気もするけど、照れてるシゲの顔、嫌いやない。

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