Colorful stories 5 （W.短編集）

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桃side



「のんちゃん。俺、このまま消えてしまいたいなぁ〜って最近思うねん」

そう言う神ちゃんは、穏やかな顔して笑うけど。

「神ちゃん…」
「あ、ちゃうねん。そんな意味とちゃうから、心配せんとって？」

そうは言うても、しげがいなくなってからのこの1年の神ちゃんを見てれば、無理してるのは明らかで。
ここがお昼休みの公園やと言うことも気にせず、強く抱きしめる。

「やっぱりしげへの気持ちはな、消えるどころか小さくなってもくれへんの。これ以上膨らまんようにするだけて精一杯やねん。やからな？もう、このままでえっか、って。好きなもんは好き。それだけ。そのまんま、虹みたいに綺麗なまんま、そんでいつの間にかすぅーっと消えてくれたらええなぁって」
「神ちゃんはそれでええの？」
「うん。たぶんそれが一番ええと思う。でな？」



俺、実家に帰る。



神ちゃんの言葉を理解するのにだいぶかかった。
「大阪支店に異動希望出してて、やっと空きが出てん」
「嫌や！」
「のんちゃん、ちゃうねん。しげのせいやないねん。家庭の事情ってやつ」
「オカン、体調崩しててな？上は家庭があるし、下はみんなまだ学生やから、俺が戻らなあかんの」

「しげには…？」
「なんでよ、言うわけないやん。フラれてんで？もう関係ない人やもん」
「別れた理由も聞いてないまんまなんやろ？」
「聞いても変わらへんよ。困らせたないねん。しげ、優しいから…」



「しげが幸せなら、それでええんよ」


そう言うた神ちゃんは、穏やかな顔して笑った。

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