Colorful stories 5 （W.短編集）

溺れてよ、早く（JW赤×緑） ページ21

緑side



はよ、気づけや。
俺にはシゲしかおらへんのとおんなじ。
シゲには俺しかおらへんのに。

鈍感な5歳児に分かりやすく伝える方法なんて知らん。
刷り込み刷り込み。
俺がおらへんとあかんくなればええ。
苦しくて苦しくて、俺のこと求めればええ。



長年押し込めてきた片思いは、とっくに限界を超えて溢れ続けていた。
けど、思いを伝える勇気なんてない。
シゲが遠ざかるのだけは、どうしても避けたいから。

シゲが俺のこと好きになってくれればええのに…
それが難しいってわかってるけど。
せめて、少しでも俺のこと意識してほしい。
シゲの特別になりたい。

やから最近は、自分の気持ちに素直に従ってる。


インタビューで、ついついシゲの名前からばっか出してしまったり。

パフォーマンス中に見つめ合って、ついほっぺにふれてしまったり。

ライブの時、流星の後ろに隠れてそっと指先をふれさせたり。


特にパフォーマンス中は俺もシゲも熱くなるタイプやから誰も疑わへん。
シゲとの時間は、かけがえのない幸せな時間。




シゲの反応見たくてつい、今日は久しぶりに何もせえへんかった。そしたら違和感感じたらしい。

「なんで今日せえへんかったん？」

なんて俺にはハッキリ言えないから、恨めしそうにこっそり俺のこと見てるシゲの目。たまらへん。

あざとくてもええ。
ずるくてもええ。

そうやって溺れてけばいい。

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