Colorful stories 4 （W.短編集）

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「もう一年経ったら慣れた？こっち」
「そうやな、言葉がなんとかなり始めてからは、まぁ快適よ」
「ずっとこっちに住むん？」
「今の店、恩人の店やねん。病気療養中やから、その間預かってる。その人が戻ってきたら、日本に帰るで。」

差し障りない会話で、沈黙を避ける。

帰ってくるんや、
仕事はどうするん？どこに住む？
俺とはもう…、

差し障りない会話でも、しげの口から出る一つ一つに、いろんな感情が湧き出てきてしまうけど。




キッチンから見慣れた土鍋が出てきた。
一人暮らし、テーブルなんてないから、こたつの上に土鍋が置かれて、ラグに座って向かい合った。



蓋を開けると、匂いが鼻を刺激して、吐き気がした。


合わせた缶ビールは、口にせず、そっとこたつに置いた。


「いただきます」

鍋を頬張って、ビールで流し込む。

でっかい口で食べるしげ見てんの、好きやってんなぁ。


握りしめた拳には、力が入る。



ヨリを戻せるなんて期待してなかった。
けど、まだ“好きな人”といられるわけで。
正直、幸せな気持ちは抱いていた。

さっきまでの愚かな自分を殴りたい。


俺は、しげのこと何一つ忘れてない。
ニラが大好きなことも、
ラムネばっか食べてることも、
からあげにはレモンかけることも、

きゅうりが食べられへんことも。


結局、
しげの中には、もう俺はいなかった。


「バイバイ」
「今までありがとう」
「大変な時に支えてやれへんでごめんな」
「大好きやで」


言いたいことは、いっぱいあったけど、
声と一緒に涙も出てきちゃうから。


鞄を持って、玄関を出た。
振り返らない。
泣きそうなん、見られたくないし。
しげの顔見たら、絶対泣いちゃうから。


最後に見たしげの顔は、蟹鍋を頬張る、美味しそうで幸せそうな顔。

もうそれだけで、俺も幸せ。




知らない国の星空は、俺の心を満たしてくれた。





「異国の星は、涙を誘う」fin.


＿＿＿＿＿

ハッピーエンドではなくてごめんなさい💦
私が見た夢なので、悲しいまんま終わってしまいました…。続き、ハッピーエンドで見たい…涙

「完結してません」の表示を消したくて、残りページを埋めました…。

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