キミイロ セレナーデ（JW赤×緑）

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玄関を開けると、家中真っ暗。
まだ寝るには早い時間なのに、


「ともくんっ！ともくんっ！！」

嫌な予感がして、慌てて電気をつけて見渡す。リビングにも台所にもいない。
寝室を開けると、暗い中一人でベッドに座っていた。


姿を見とめて、とにかくホッとする。

「ともくん、どしたん？びっくりしたわ。」

電気をつけようと背中を向けると、後ろからトンっと衝撃が伝わる。
お腹の前に腕が回ってきて、それがともくんだと気づいた。


「シゲさん…抱いて、」
「…ともくん…、どしたん、」
「お願い。一度でええから、」

声が震えてる。
腕の中でそっと体の向きを変えて、抱きしめる。

「ともくん、そんなん、あかん、」

あかんやん。
俺はこの子に“神ちゃん”を重ねてる。
身代わりにしてるんや。
そして、この子には、今俺しかおらん。
誰かに縋りたいだけ。

「あかん、ともくん。自分、大事にしいや？」

その声、その匂い、そのぬくもりから、必死に気を逸らして、笑いかける。



部屋を出ようとした時、腕を引かれて、向かい合う形になる。
頬を冷たい両手で包まれて、唇を奪われた。

「シゲ、さん、…っ」

キスの合間に、何度も何度も俺を呼ぶ、震えた声。



俺の理性は、いとも簡単に砕け散った。


何度も深く口付ける。
潤んだ瞳も、甘い声も、ずっとずっと求めてたもので。



指と指を絡めて、ベッドに沈んだ。











起き抜けに感じる、この特有の気だるさは、かなり久々の感覚。
けど、その気だるさも、悲しみと恐怖で、一瞬にして消えてしまった。



次の日起きると、ともくんはもういなくなってて、


テーブルの上には赤い携帯。
手に取ると、画面が光る。
ともくんの待ち受け画面の俺は、ブレブレの俺のだらしない、でも穏やかな顔。
記念すべき初めてのツーショットが、幸せそうに笑っていた。

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