#22 ページ23
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あれから3ヶ月が経って、季節はもう冬へと移り変わろうとしている。
街は白い光に包まれ始めてすっかりクリスマスムード一色。
ポケットに突っ込んだ手が中々出せない、そんな時期。
｢ちょっと大貴、聞いてんの？｣
｢え…、あ、うん。それで？｣
｢それでさー…｣
いつもは絶対に入らない、レトロな雰囲気のお洒落なカフェに、俺達は居た。
時間帯的にも周りには人が居なくて、目の前にいる此奴…知念の会社の愚痴はヒートアップする。
｢さり気なく僕のお尻触ってきやがって…あんのえろじじい｣
｢やめてくださいって言えばいいじゃん｣
｢はあ？！そんな事言ったらクビになるでしょうが。第一、なんで僕が…｣
と口をタコのようにしてブツブツ言っている此奴は、口は悪いが顔はめちゃくちゃ可愛い。
…そりゃ上司にもセクハラされるわ。
｢それに。僕よりも可愛いコ居るんだから、何も僕にセクハラしなくてもいいじゃんか。｣
｢…へぇ、めずらし｣
｢なにが｣
｢知念が自分以外のコを可愛いって言ってんの｣
｢…まぁ、僕より可愛いのは事実だし。でも逆にそのコに手出したら僕が承知しないけどね｣
｢きゃー、こわーい知念さん｣
｢なんか言った｣
｢いいえ、何も｣
高校の時から変わらない俺ららしい会話に、つい頬が緩む。
いのちゃんの幼馴染と名乗った当時の知念は人見知りが酷かったけど、ここまで自分をさらけ出してくれるのにあまり時間はかからなかった。
だから今もこうして時々会っては出掛けたり、お互いの愚痴を言い合ったりしている。
いのちゃんも知念と二人で出掛けたりすると聞くけど、俺と伊野ちゃんの関係を知っている知念は当たり前のように昔みたいに3人で出掛けることをよく拒む。
知念曰く、俺らの邪魔になるのが嫌なんだとか。
全く、変なところで気を遣う癖は昔からそうだ。
｢大貴、そろそろ閉店時間らしいから、今日はお開きね｣
｢いいけど。なに、疲れてんの？｣
｢…うん、まあね。て事でじゃあまた次も奢ってよ、大貴｣
｢またかよ！…じゃあ、気をつけて帰れよ｣
｢はーい｣
何処か間延びしたその返事に既視感を覚えて口元が緩み、知念とは別方向に歩き出す。
｢さっむ、｣
身体がぶるりと震え、ポケットに突っ込んでいた手を更に深く押し込む。
ああ、今年の冬は寒そうだ。
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なづな(プロフ) - 雄也たんさん、ありがとうございます！初投稿なので少しおかしな所もあると思いますが、期待に応えられるように日々精進したいと思います。 (2020年9月13日 19時) (
レス) id: 508217b1b8 (このIDを非表示/違反報告)
雄也たん - 今後のうらツクも期待してます。泣けるような話も、期待してます。 (2020年9月13日 19時) (レス) id: a15daa54b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なづな | 作成日時：2020年9月13日 19時
