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目の前の去っていく小さな背中に、無意識に溜息が零れていた。
｢ゆーてぃ、溜息｣
｢え？あ、ごめん｣
｢もう、｣
隣にいた知念が｢はぁ、｣と溜息を吐く。
…知念だって、人のこと言えないじゃんか。
｢涼介、全然気付かないね｣
｢…うん、｣
｢全く…、鈍いんだか、馬鹿なんだか｣
｢…｣
夕暮れに染まる街並みを二人並んで歩く。
やまよりもちょっとだけ低い位置にあるそのさらりとした髪が杪夏の風に揺れて、光る。
｢…ゆーてぃは、どうしたいの？｣
変わらぬ声のトーンで放たれたその言葉の意味は、俺の長年の片想いに向けたものだった。
…どうしたいって、そんなの。
｢ずっとやまの隣にいたいって、思ってる｣
｢それは恋人として？それとも、いつまでもズルズルとその重ーい恋心を引きずって嘘の笑顔を向けた表面上での ” 親友 ” として？｣
｢それは…｣
｢はぁ…、ゆーてぃ。言葉にしなくちゃ伝わらない事だってあるんだよ？涼介だって、いつかは誰かのものになるんだから。その度にゆーてぃは爪を噛んで耐え続けるの？｣
｢っ、…｣
悔しいけど、知念の言う通りだった。
今まで ” 親友 ” として隣で笑ってくれていたやまが、俺の気持ちを知ったらもうその笑顔を向けてくれないんじゃないかって。
漫画みたいな、そんな在り来りな事がこんなにも自分を苦しめるなんて思ってもみなかった。
それに、現にやまには好きな人がいるんだ。
それなら尚更恐かった。
告白して振られたら立ち直れる自信がなくて。
嬉しそうにあの人の事を話すやまが、嫌いだった。
俺じゃ駄目なのって、やまの見えないところで必死に歯を食いしばって耐えてた数年前。
あの頃は今よりもずっと子供で、あの人が引っ越して一人でいたやまを口実にして親友の座を手に入れた。
今ではそんな最低だった自分の行為に怒りが湧いてくる。
｢知念、俺…｣
いつまでも子供でいる訳にはいかないんだ。
｢やまに、好きって言う｣
俺も前に進まなくちゃ。
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なづな(プロフ) - 雄也たんさん、ありがとうございます！初投稿なので少しおかしな所もあると思いますが、期待に応えられるように日々精進したいと思います。 (2020年9月13日 19時) (
レス) id: 508217b1b8 (このIDを非表示/違反報告)
雄也たん - 今後のうらツクも期待してます。泣けるような話も、期待してます。 (2020年9月13日 19時) (レス) id: a15daa54b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なづな | 作成日時：2020年9月13日 19時
