#16 ページ17
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大ちゃんとの出会いは突然だった。
俺より2つ歳上の大ちゃんは、俺が小学校に入学した頃休み時間に一人でいた俺に優しく手を差し伸べてくれた唯一の存在だった。
『いっしょにあそぼーよ！』
『…ぼくでいいの？』
『きみがいいんだよ！』
歳は違くてもまるで同い歳のように接してくれた大ちゃんに、今思えば一目惚れしていたのかもしれない。
それから毎日俺のクラスに来て遊んでくれた大ちゃんは、学年が変わるごとに幼馴染の子と一緒にいる事が多くなっていた。
今ではそれが誰だったかなんて覚えていない。
もしかしたら無理矢理記憶の中から抹消したのかもしれないけれど、当時の嫉妬心やその彼への妬みは幼いながらも酷かった。
それから大ちゃんは俺より先に卒業して、俺より先に高校に入学して。
なんでも彼は俺より早かった。
校則違反の髪をこっそり染めるのも、友達を作るのも。
知らない間に彼は大人になっていて、俺は焦燥感を抱いていたのを今でも覚えている。
まあそれは今でもそうかもしれないけど。
『大ちゃんがずっと前から好きだった』
本当はあんな事言うつもりじゃなかった。
彼を困らせるって分かっていたのに。
彼が遠くに行くと知って勝手に口走っていたその言葉を意気地無しな俺は取り消すことも出来ないまま、彼が困った表情をして了承するのを嬉しそうなフリをして唇を噛み締めていた。
…大ちゃんに想い人がいること、とっくに知ってたのに。
大ちゃんの身も心も縛っているのは俺なんだ。
今も、昔も。
本当は、俺の大ちゃんへの気持ちはもう解らない。
ぼやけて、霞んで、暗い道を一人で突っ走って。
さよならって潔く去ってしまえばいいのに、それが出来ない俺はきっと年上で優しい大ちゃんに憧れていただけ。
顔も知らない｢幼馴染｣の代わりになりたかった。
俺だけを見て笑って欲しかった。
俺だけの為にそのキラキラの笑顔で笑い合って、偶に寂しそうに笑って、喧嘩して。
愛されたことがない俺だけを、見ていて欲しかった。
照れたように赤面して微笑んでくれるのも、慈愛の目で見つめてくれるのも。
大ちゃんにとっての1番が、どうしても俺じゃないと許せなかった。
｢伊野尾？｣
｢えっ？あ、…じゃあね、薮。ありがと、｣
｢？気にすんな。じゃあな、伊野尾｣
大ちゃんに、依存していた。
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なづな(プロフ) - 雄也たんさん、ありがとうございます！初投稿なので少しおかしな所もあると思いますが、期待に応えられるように日々精進したいと思います。 (2020年9月13日 19時) (
レス) id: 508217b1b8 (このIDを非表示/違反報告)
雄也たん - 今後のうらツクも期待してます。泣けるような話も、期待してます。 (2020年9月13日 19時) (レス) id: a15daa54b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なづな | 作成日時：2020年9月13日 19時
