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彼が帰った後も、彼の言葉が頭を駆け巡る。
｢好き…｣
気が付いたらぽろりと口から零れていた。
無意識に呟いた自分の気持ちは素直で、なんて純粋なのだろうと、今の自分と比べてやめた。
だって彼の前じゃどうしても素直でいられないから。
それが恋なのだ、と誰かが言っていたような気がするけど、あくまで子どもだったらの話だろ、と心のどこかで悪態を着いてしまっていたから大人になって身をもって体験をして気付くとは思ってもみなかった。
それだけ彼への恋心は熟した苺よりも赤いのだ。
お風呂上がりのまだ湿っている癖っ毛を摘みながら、昔の彼の髪型に似てるな、と懐かしい記憶に想いを馳せた。
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｢裕翔、今日は俺の奢りな｣
｢え、あのやまが奢る！？どうしよう風邪でも引いてるの？！｣
｢至って健康だわ｣
翌日、珍しく知念は体調を崩して会社を休んだ。
裕翔は相変わらず元気だが、昼飯俺が奢ると言ったら目を見開いて驚いていた。
てか風邪引いてる？とか失礼すぎだろ。
風邪なんかガキの時以来引いてねえわ。
なんて頭の中で再度ツッコミを入れて、行きつけの蕎麦屋へ向かった。
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｢最近何かあったでしょ｣
｢んー？｣
｢ほら。この頃頬っぺ緩みっぱなしだよ｣
｢そ？｣
｢うん｣
俺らはいつもの席に座って運ばれてきた蕎麦をすする。
裕翔は上機嫌な俺を指摘した。
｢ほんとに何も無いってば｣
｢うそ！絶対何か隠してるでしょ！｣
｢んも〜、裕翔面倒臭い｣
｢なっ！やまが隠し事なんてするからでしょ！｣
｢だーかーら、別に隠し事なんてしてないっつの｣
子どものような言い合いに正直楽しんでるのも事実。
裕翔は一緒にいて飽きない。
けどここまでしつこく聞かれるのは初めてで、少し裕翔の過保護っぷりに呆れてる。
｢やまのことが心配で…！
昔何も知らないでひょこひょこ男に着いてって襲われそうになったことあるでしょ？それに、有岡先輩のことだって…｣
｢っ裕翔…！｣
｢っあ、…ごめん、｣
裕翔の口から発せられた名前に、つい反応してしまった。
これは昔からの癖だ。
彼への俺の気持ちを知っていた裕翔はしょんぼりと分かりやすく落ち込む。
｢あ…俺こそ、いきなり大声出してごめん…、｣
はっと我に返って言葉を紡いだ。
裕翔は昔から素直だ。
…素直で、羨ましい。
だから俺も素直にならなくちゃいけないのかもしれない。
今なら裕翔の心配性に寄り添える気がして口を開いた。
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なづな(プロフ) - 雄也たんさん、ありがとうございます！初投稿なので少しおかしな所もあると思いますが、期待に応えられるように日々精進したいと思います。 (2020年9月13日 19時) (
レス) id: 508217b1b8 (このIDを非表示/違反報告)
雄也たん - 今後のうらツクも期待してます。泣けるような話も、期待してます。 (2020年9月13日 19時) (レス) id: a15daa54b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なづな | 作成日時：2020年9月13日 19時
