78. ページ29
白石先生side
不整脈の発作を起こしたと連絡が入り、患者の処置を終えてすぐにAの元へ向かった。
『緒方さん。』
緒方「あ…白石先生…」
病室に入りAのベッドの側へ行くと、薬で落ち着き寝ている姿を見ている緒方さんが居た。
声をかけると悔しいような悲しいような複雑な表情で目線をくれた。
緒方さんに動いてもらうのは悪いと思い、ベッドの反対側のAの頭の方へ行き緒方さん向かい合うように立ち、Aの頭を軽く撫でる。
『心配かけてごめんなさい。今日は特に…』
緒方「いえ…」
口ではそう言っているものの表情は変わらない。
目の前で2回も倒れられたら不安になるわよね。
緋山先生のことも。
『…最近は喘息も不整脈も、落ち着いていたんですけど…やっぱり緋山先生の件で精神的に参ってしまってるんだと思います。』
緒方「…俺は頑張ってみたんですけどね…Aちゃんに少しは前向きになって貰えるように…でも、ダメでした。」
『そんなことないです。緒方さんがAと接してくださらなければたぶん…想像をしたくない結果になっていたかも知れません。緋山先生が怪我をした時は大変でしたから。』
そう。
緋山先生が電車の事故で意識が戻らなかった間、Aは手のつけられないほどだった。
まだ今より小さかったから何とか大人1人で対応できたけど、その頃より大きくなっているから緒方さんが居なければこうやって頭を撫でることは出来なかったかもしれない。
『緒方さん。ずっと立ちっぱなし疲れますよね。少し休んできてください。そろそろ消灯時間になりますし。』
緒方「…はい。Aちゃんのこと、よろしくお願いします。」
緒方さんにそう告げると、名残惜しそうにAの顔を見ながらそう言いゆっくりと…後遺症のせいではない、後ろ髪を引かれるようなそんな感じで病室の外へ歩いていく。
ドアのところで一旦止まると、こちらに振り返り会釈をして病室を後にした。
『…不安だよね。…私も、不安でしょうがないよ…』
ベッドの横へ椅子を出し座り指しゃぶりをしながら寝ているAの頭をそっと撫でる。
最近は卒業してるんだけど、特に不安な時は落ち着くのかこうやって指しゃぶりが復活してる。
本当はやめさせた方がいいんだろうけど私には出来ない。
『…でも、大丈夫。緋山先生は明日には笑顔でAのことを抱っこしてくれるよ。』
寝ているAにも伝わるように言い、そっと病室を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 929人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「妹」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みろ(プロフ) - グレースさん» ありがとうございます。不定期で亀更新ですが、今後ともよろしくお願いします。 (2020年2月5日 15時) (
レス) id: 9312d2e793 (このIDを非表示/違反報告)
グレース(プロフ) - いつも楽しみにしています。応援しています。 (2020年2月4日 15時) (レス) id: e700f054fe (このIDを非表示/違反報告)
みろ(プロフ) - 真衣さん» ありがとうございます。遅くなってしまいすみません。これからもよろしくお願いします。 (2019年9月12日 14時) (レス) id: 8819c6dc4a (このIDを非表示/違反報告)
みろ(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2019年9月12日 14時) (レス) id: 8819c6dc4a (このIDを非表示/違反報告)
みろ(プロフ) - lm00n16arielkidさん» ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。かしこまりました。私なりに頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年9月12日 14時) (レス) id: 8819c6dc4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みろ | 作成日時：2017年11月14日 0時
