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38. ページ39

緋山先生side

なんで、シュークリームなんか食べたのよ…
あれほどクリームはダメって言ってあったのに…

そんなことを考えて頭を抱えていると、緒方さんがなんか深刻そうな顔をして入ってきた。

『緒方さん、勝手に入ってきちゃだめでしょ。ここ、ICU。』

緒方「すまんっ!」

『…びっくりしたー。』

こっちが注意してるのに、そんなの耳に入ってないみたい。

急に大きな声を出すもんだからびっくりした。

周りのナースやらもビックリしてこっち見てるし。

『何がすまんなの?』

急に来て、急に謝るなんて意味わかんないし。

緒方「俺が…その…Aちゃんに、シュークリーム…あげたんだ…」

え?今なんて?

緒方「俺…こんなことになるなんて知らなくて…ただ…なんていうか…喜んでもらいたくて…」

『え、ちょ…』

頭の理解が追いつかない。

白石「緋山先生、緒方さんにAのアレルギーのこと、話したの?」

『いや…話してない…』

そうだ。

入院してれば、食べるものは病院食だけって思い込んでた。

こういうこともあるなんて思ってもみなかったから、緒方さんには言ってなかったんだ。

『ははっ…なにやってんだ、私…』

そんなことにも気づかなかった自分が情けない。

あー、
泣きそう。

緒方「いや、俺がちゃんと確認すればよかっただけなんだ…ほんとにすまん。」

『いや、緒方さんは何も悪くないですよ。私が言わなかっただけ。』

白石「緋山先生。緒方さん、少しこちらへ。」

緒方さんの顔も見ずに、ぶっきらぼうに言ったら白石に注意された。

緒方さんと一緒にICUの外へ行ったのを足音で感じると、頑張って我慢してたのに涙が止まらなくなった。

A。守れなくてごめん。こんなお姉ちゃんでごめん…。

『こんなんじゃ…お姉ちゃん、失格だね…』

気づくと椅子に座り、Aの手を握って声に出していた。

A「…っ」

『A?!』

少しして涙が止まりかけたとき、握っていたAの指が微かに動き目を開けた。

『チューブ抜くから待っててね。』

急いで、でも慎重に挿管されている管を抜く。

A「ケホケホ…おね…ちゃ…」

『ん?何?』

A「ない…てたの…?」

『…ばか。そんなわけないじゃん。』

涙はもう出ていないはずなのに。
なんでバレたんだ。

A「目…赤い…」

あぁ、充血までは流石に隠せないか。

『パソコンの見すぎだよ。』

こんな下手な嘘しか出てこなかった。

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まちゃ(プロフ) - この小説ほんとに面白くて大好きです!! (2018年6月16日 6時) (レス) id: 827384ec1a (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 名取先生とかも出してほしいです (2018年2月27日 1時) (レス) id: b35bb8b960 (このIDを非表示/違反報告)
みろ(プロフ) - 智未さん» 喜んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。 (2017年11月2日 19時) (レス) id: 8819c6dc4a (このIDを非表示/違反報告)
智未(プロフ) - リクエストに応えて頂きありがとうございます!とても、面白かったです!次のお話も楽しみです!これからも頑張って下さい!応援してます! (2017年11月2日 18時) (レス) id: c6b9284cf3 (このIDを非表示/違反報告)
みろ(プロフ) - レインさん» ありがとうございます。 (2017年11月2日 17時) (レス) id: 8819c6dc4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みろ | 作成日時:2017年9月7日 0時

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