僕はまたキミに恋するんだろう

15.私の話 ページ16

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入れ替わるように入ってきたのは

心配そうな顔をした岸くんと桜。


岸「Aちゃん！」

桜「A！」


「こんな朝早くに…本当ごめんなさい！」


岸「いやぁAちゃん何も悪くねえし。」

桜「変なことにならなくてよかった。」

「平野さんがいてくれたから…」


岸「昨日の夜、1人で片付けしてるところに、忘れ物した紫耀が取りに行って、帰ろうとしたらAちゃんが寝てるから、そのままは危ないと思って、自分もここで寝たんだって。」


「そうだったんだ…私何も日記に書いてなかったみたいで笑」


桜「なにやってんの笑」

「今日いつ？」

桜「2020年9月21日。」


「へえ〜笑 私の今日は2018年8月13日。笑」

岸「俺らのデビューコンサート中だよそれ笑」

「だって昨日岸くんうちで蕎麦食べた。」


岸「そう言えばコンサート終わって食べたかも笑」

桜「年越しそばならぬ日越しそばだとか優太バカなこと言ってたね！笑」

岸「あー言ってたかも…てかバカはねえだろ！」

「ふふっ昨日もそんな感じだった笑」

岸「俺ら変わってないみたいで良かったな笑笑」

桜「だね。」




1日しかもたない記憶。


何度私は今日を2018年8月13日だと思って迎えたのか、それすらも感覚がない。


自分が記憶障害だということを認識してない。


だから、私は毎日どんな風に朝を迎えて、何度このことに悩まされてきたのか知らない。



楽しかった思い出も日記の上とスマホの画面上にあるだけで、それを見てもそこにいる自分はまるで他人のようで。



けど、辛い思い出は明日に引っ張ったりしない。引っ張れないと言った方が正しいか笑それはありがたいところ。



16の春に単身海外留学し、料理を学んで19の春に帰ってきた。


桜のお店で働かせてもらい、2人で暮らして、それはそれは充実した毎日だった。

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