愛という、名もなき花。* 橙 (ページ3)

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それから彼女は、僕の花屋によく来てくれるようになった。

何度も会話するうちに、お互いのことを少しずつ知っていった。

そして、それから数ヶ月後のある日。

いつものように店に来てくれた彼女に、僕は特別なプレゼントを渡した。

「これ……もらってくれへん？」

「え、いいの？というか、これって何の花なの？」

その鉢植えの花は、まだ蕾のままだった。

「アネモネやで。これは、赤い花が咲くねん。」

「へえ、赤いアネモネかぁ。あ、そういえば、アネモネって色ごとに花言葉違うんだったよね？赤はどういう意味なの？」

「それは……帰ってから自分で調べてみて？」

本当は自分の口から伝えるべきなんだろうけど、やっぱり言葉にするとなると恥ずかしくて、一番まっすぐに気持ちを伝えるには、この方法しかなかった。