case.50 ページ3
さて、見るも無惨な姿の犯人に哀れむように心の中で合掌をした後。
にこにこと一見人当たりの良さそうな笑みでこちらを見つめる彼を見て、Aは自分にも心の中で合掌をした。
「全く貴女は…最近見掛けないと思ったら何故こんな男に迫られているんですか」
『こんばんは〜。お久し振りですね、安室さん。』
「お久し振りですね、じゃないんですよ。何ですか、あの茶番。貴女僕が近くにいたことに気付いて態と彼処で叫びましたね？」
『さて、何のことでしょう〜…？』
安室は、先程までとは打って変わりけろりとしたいつもの彼女を見て密かに安心すると同時に、呆れたように溜息を吐いた。
彼女の事だから、別に本気で助けを呼んだ訳ではないのだろう。恐らく、いざとなれば自ら対処するつもりでいたはずだ。
それが分かっていただけに、安室は無性に腹立たしかった。
素直に助けを求めるなら兎も角、これでは彼女の手のひらで転がされている気分だ、と安室は思った。
『安室さんってだいたいポアロのシフトが入ってる日は買い出しに決まってこっちの道通りますし、もしかしたら通るかな〜って思ってたら的中ですね〜。いやぁ、ありがとうございました〜。』
「つまり、僕の行動は把握済みだと？そこのストーカーより余程ストーカーっぽいですよ、Aさん。」
『冗談言わないでください。イケメンをストーカーする趣味はないです。』
真顔で訴えた彼女にそうですか、と相槌を打つだけに留めた安室は、ふと彼女の手元に視線をやって、眉をしかめた。
『あ、でも一応お礼は言っておきますね。私もそこまで薄情じゃないので〜。ありがとうございました〜。では。』
にこりと笑みを浮かべて彼の横を通り過ぎようとしたAだが、その腕を掴まれ、引き留められる。
「…待ってください。何ですか、その袋は？」
その言葉にAはひくりと顔を引きつらせた。
「まさか、今日の夜ご飯とか言いませんよね？」
『その発言は沖矢昴さんでお腹いっぱいですって〜…』
「沖矢昴、だと……？」
あ、しくじった。
瞬時に思うも、既に遅し。
Aは、気付けばそのまま抱えられて、彼の車の助手席に敢えなく乗せられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 310人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
q2n3qbzuWwYqZsD(プロフ) - 続き見てぇー (2022年8月5日 19時) (
レス) @page22 id: c07b904298 (このIDを非表示/違反報告)
咲空(プロフ) - 氷月さん» ガイシャも被害者も同じ意味ですよ (2020年4月26日 23時) (レス) id: aaa3736e7c (このIDを非表示/違反報告)
氷月 - ガイシャではなく被害者ではないですか？ (2020年4月15日 1時) (レス) id: acb67715b0 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 夢主ちゃん可愛いです…！タイプです！w応援してます、頑張ってください！ (2019年5月23日 16時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
キリト - 赤井さんの名前を出した時の反応可愛い！続き読みたいです！ (2019年5月2日 0時) (レス) id: 589d334356 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲空 | 作成日時：2019年2月11日 16時
