case.49 ページ2
スーパーを出て沖矢昴と別れた後。
相変わらず後ろから追いかけてくる人の気配にAは溜息を吐いた。
『私を尾行するならもっと上手いこと身を隠して貰わないとねぇ〜…。』
小声で一人ごちて、欠伸を漏らしながらも考える。
町は日が傾いてきて、もう薄暗くなってきた頃。
それほどAは、食べることも忘れて仕事に没頭していたのだ。
もう少ししたら人通りの少ない道に入る。
そこで取り敢えず鬼ごっこといこう。
そう決心して、人がいないのを確認した途端、Aは走り出した。
それに倣う様に、後方からバタバタと足音が聞こえてくる。
Aが走る度に、手元の袋がガサガサと音を立てた。
邪魔だな、と内心思いつつも、段々と近くなる足音。
決して彼女が遅いわけではないのだが、何せ普段から部屋に籠っている身。
体力も長くは続かなかった様で。
迎え撃つか?と次の路地に入って、足を止めて振り返れば、それに合わせて足を止めたストーカーは、にたりと笑って、ゆっくりとAへと近寄る。
「ふ、ふふふ……酷いなぁ…逃げるなんて………でももう逃げられないよ……。ああ、可愛い。可愛い可愛い俺のAちゃん………お人形さんみたいだね………大丈夫、怖がらないで…………」
別に怖がっている訳ではなく、寧ろこの状況が何故か面白くなってきたAは、何時もの無表情は何処へやら。瞬時に恐怖の表情に変えて後退した。
『いや……こ、来ないで…!!気持ち悪い!!』
「…気持ち悪い?やだなぁ、面白い冗談を言うんだね?君は僕がどれほど君のことを愛して、ずっと見ていたか知らないからそんなことを言うんだね………大丈夫、大丈夫だよ………これから僕がたっぷり可愛がってあげるからね…………」
『や、やめて!!!いやっ!!!!』
後ろは行き止まり。
近付いてきた犯人の手がAに触れようとしたその瞬間、Aはそろそろいいかと手を構えだした。
しかし、其れよりも早く男の後ろに立つ影に気付き、構えていた手は不発に終わった。
「Aちゃ…グハァッ!!!」
後ろから放たれた蹴りが綺麗に顔に命中して、一撃で伸びた男。
「…汚らわしい手でAさんに触らないでもらえませんかね。」
数日ぶりの褐色肌のイケメンに、Aは静かに溜息を漏らすのであった。
310人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
q2n3qbzuWwYqZsD(プロフ) - 続き見てぇー (2022年8月5日 19時) (レス) @page22 id: c07b904298 (このIDを非表示/違反報告)
咲空(プロフ) - 氷月さん» ガイシャも被害者も同じ意味ですよ (2020年4月26日 23時) (レス) id: aaa3736e7c (このIDを非表示/違反報告)
氷月 - ガイシャではなく被害者ではないですか? (2020年4月15日 1時) (レス) id: acb67715b0 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 夢主ちゃん可愛いです…!タイプです!w応援してます、頑張ってください! (2019年5月23日 16時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
キリト - 赤井さんの名前を出した時の反応可愛い!続き読みたいです! (2019年5月2日 0時) (レス) id: 589d334356 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲空 | 作成日時:2019年2月11日 16時