五十九階 ページ8
連れの軍人たちが死に絶え、残りは男一人となった。
「どうやら貴方がたはこの子のことを随分と気に入っているようにみえる」
彼はそう言ってため息をつき、黒い騎士に降参だという素振りを見せたあと、武器を床に投げ、今度は優しく少年を降ろした。
黒い騎士は身構えたまま動かず、しばらく男の様子を窺っているようにみえる。
男の敵意を感じなくなった黒い騎士たちは、霧のように歪み、空気に溶けて居なくなり、祭壇の部屋で息絶えた軍人たちも床に吸い込まれ、跡形もなく綺麗に消えた。
男は少年の頭をそっと撫で「乱暴な真似をしてすまなかったな」と言うが、少年は床をじっと見つめていた。
男もまた少年に続くように床を見たあと、こう説明した。
「先ほど死んでいった奴らは元々人が悪くてな。国の法を犯しては国民を痛ぶっていた奴らだ。
現国王の命により、正式的に処分したまでだ。奴らは今までの行いで神に裁かれた。それだけだ」
男はそのあと、ぎこちない発音で冗談まじりに少年にこう聞いた。
「میری سچی اداکاری کیسی تھی؟ (私の迫真な演技はいかがだったかね？)」
少年は眉を寄せながら彼に目を向け、ゆっくりと答えた。
「بیمار لگ رہا ہے」と。
自室に戻った少年は男の心臓に悪い演技に不機嫌そうに椅子に座り、男は少年が思いのほか驚いていたようで満足そうな表情で立っていた。
彼は中々に性格が悪いようだ。
男はふと窓を見つめては「昔と変わらんな」と口にすれば勝手に語り出す。
「当時はまだ19歳だったか…。軍人なりたての頃に初めての戦場で海に流され、ここに辿り着いた。
昔から祖父や祖母に言い伝えを聞かされていたが、まさか存在しているとは思わなかったが…」
そう言いかけたところで、男は少年に「ああ、この言語ではわからないか」と困ったように顎に手をあてた。
「生憎だが、君が作った言語はあまりにも難しくてな。君が昔教えてくれた言葉…先ほどの言葉しか理解できなかった」
と男はまたため息をついた。
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おマロ(プロフ) - あらばさん» コメントありがとうございます。いつでも何度でもコメントしてくださって構いませんので是非遠慮せずのお書きください。応援のお言葉誠にありがとうございます。 (2020年1月10日 10時) (
レス) id: 061e4a875f (このIDを非表示/違反報告)
あらば - 続編、おめでとうございます。俺は短い文をコメントに送ることが多いです。返信(？)して貰えるのはとても嬉しいです。応援してます。更新、楽しみにしてます (2020年1月10日 0時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
おマロ(プロフ) - ルインさん» コメントありがとうございます。BGMを聴いてくださり、ありがとうございます。機会があれば、ぜひBGMと小説の組み合わせに関してのご感想もよろしくお願いします。引き続きお楽しみくださいませ (2020年1月6日 19時) (レス) id: 061e4a875f (このIDを非表示/違反報告)
ルイン(プロフ) - 大好きで…ただただ、大好きです…BGMなんかも最高です!!本当に小説を作ってくださってありがとうございます!! (2020年1月6日 17時) (レス) id: 921896023c (このIDを非表示/違反報告)
おマロ(プロフ) - あむんとぐだっとさん» コメント誠にありがとうございます。そう言っていただけるととても嬉しく思います。引き続きお楽しみくださいませ。 (2020年1月4日 15時) (レス) id: 061e4a875f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おマロ | 作成日時：2020年1月4日 10時
