二十五階 ページ26
エーミールは「え？」と少年を見た。Aは懐からあの白い花を取り出してエーミールに差し出した。
ci「Aは、きっとエミさんを慰めてるんですよ」
チーノはそう言ってAに笑いかけると、少年はチーノを見てからエーミールをじっと見つめた。
em「…ありがとうございます」
エーミールは笑顔を見せてその花を受け取り、大切に胸ポケットに入れた。
「A？」
旅人はそう聞くとチーノは「はい」と頷いて「この子が名前を教えてくれたんです」と少年を撫でて言った。
em「いつの間に仲良くなったんです？」
エーミールは首を傾げてそう聞くと、チーノは少年を見てから人差し指を立てて口元に持っていった。
ci「秘密です」
彼は微笑みながらそう言った。
食後、階段を降りた時に霧が晴れていたことに気がついた3人は、予定より早く塔を離れることとなった。
身支度を終わらせたエーミールは「チーノさん、準備はどうですか？」と振り返って聞くと彼は頷いて「大丈夫です」と言って部屋を眺めた。
ci「ほんの1日でしたけど、なんだか名残惜しいですね」
彼の言葉にエーミールは切なく微笑み「そうですね…」と部屋の窓の景色を見た。
船着場についた彼らは、少年との別れを惜しんだ。旅人はAを強く抱きしめ、背中を優しく叩き「元気でな」と短く言った。
旅人は離れ古い小舟に乗ると、続いてエーミールも少年の前に来て握手を交わした。
em「本を何冊か頂戴してしまったようで…すみません。短い間でしたが、お世話になりました」
エーミールはそう言って微笑んでそう言い、ゆっくりと手を離して小舟に乗る。
ci「……」
チーノは俯いて動かなかった。Aと過ごした時間は他の2人より多かった。だからこそ、この別れは彼にとって寂しいものだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ウルティア - 本物に小説みたいな進め方で、少し話を変えたりしているから、読みやすくてすごく良かったです！ 言語を調べてみたりすると、一つ一つ意味があって面白かったです！話の途中にイラストを載せていたりとかしていて、とても良かったです！ (2020年10月10日 16時) (
レス) id: ed5449c75f (このIDを非表示/違反報告)
おマロ(プロフ) - あろはさん» コメントありがとうございます。言語を調べてくれてとても嬉しいです。引き続きお楽しみくださいませ。 (2020年1月5日 0時) (レス) id: 061e4a875f (このIDを非表示/違反報告)
あろは - 初めまして この話は不思議で興味深くてとても良かったです。それに言語を調べてみると「私はあなたの幸せを願っています」などあってとても不思議でした！これからも頑張ってください！ (2020年1月4日 23時) (レス) id: 463385cc96 (このIDを非表示/違反報告)
おマロ(プロフ) - 我々だ大好き!さん» コメント誠にありがとうございます。読者の皆さんにも楽しめるように工夫したので、言葉を調べてくれてとても嬉しいです。引き続きお楽しみくださいませ。 (2020年1月4日 12時) (レス) id: 061e4a875f (このIDを非表示/違反報告)
我々だ大好き!(プロフ) - 凄いですね！ウルドゥー語かと思い翻訳してみると、一つ一つ意味があって面白いです！投稿頑張って下さい！ (2020年1月4日 12時) (レス) id: 33a2dbe98a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おマロ | 作成日時：2019年12月25日 20時
