二十二階 ページ23
黒い塔の大きな窓から出ようとする少年にチーノは顔色を変えて「あ、危ないで！？」と声をあげた。
彼らがいる場所はまだ雲がある位置だったのだ。しかし少年は何も気にすることはなく、軽々と窓を飛び越えて行く。
するとどうだろうか。少年は雲の上に立ち、「おいで」というようにゆっくりと右手を差し伸べる。
ci(ああもう、落ちたら落ちたでその時や！)
チーノは半分やけな気持ちで目を瞑って窓を超えた。
ci「……え？」
目を開ければ、雲の上にいた場所ではなくなっていて広大な花畑が広がっていた。
白い花は薔薇の形をしていたが、棘はなく素足でも歩けるようだった。
風は心地よく吹き、白い花は花びらを散らしながらゆらりと揺れた。
少年はチーノの隣によって手を握った。
彼の手は冷たかった。月の光で少年の姿は青白く照らされ、肌の色は白かった。
そんな彼の姿を目にしたチーノは何か胸からこみ上げてきた。そっと手を握り返し、優しい眼差しで少年を見つめる。
少年はチーノの前を指差す。そちらに目を向ければ、小さなガラス小屋があるのを確認する。
チーノは頷いて、少年と共に小屋に向かった。
小屋についた二人は、そこに設置されている丸いガラステーブルに向かい合うように座る。
少年はテーブルに置かれているベルを持って鳴らすと、どこからやってきたのか水が入ったガラス製のカップが浮游してきた。
それはテーブルに静かに置かれ、少年は花畑にある白い花を丁寧に摘み、花びらを数枚取って水に入れた。
そして花の蜜を一滴垂らし、それをスプーンで音を立てないようにかき混ぜる。
すると、透明だった水はほのかに淡い桃色の光を放ち、そのカップをチーノに差し出した。
ci「ありがとう」
チーノは礼を言ってカップを持ち、一口飲んだ。
ここの塔の食べ物は味は全くしない。そう思っていたせいなのか、この水を飲んだチーノは大きく見開いた。
甘い。
白い花の蜜の味なのか、程よい甘味の水にチーノは思わず表情を緩め、目を細めた。
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ウルティア - 本物に小説みたいな進め方で、少し話を変えたりしているから、読みやすくてすごく良かったです！ 言語を調べてみたりすると、一つ一つ意味があって面白かったです！話の途中にイラストを載せていたりとかしていて、とても良かったです！ (2020年10月10日 16時) (
レス) id: ed5449c75f (このIDを非表示/違反報告)
おマロ(プロフ) - あろはさん» コメントありがとうございます。言語を調べてくれてとても嬉しいです。引き続きお楽しみくださいませ。 (2020年1月5日 0時) (レス) id: 061e4a875f (このIDを非表示/違反報告)
あろは - 初めまして この話は不思議で興味深くてとても良かったです。それに言語を調べてみると「私はあなたの幸せを願っています」などあってとても不思議でした！これからも頑張ってください！ (2020年1月4日 23時) (レス) id: 463385cc96 (このIDを非表示/違反報告)
おマロ(プロフ) - 我々だ大好き!さん» コメント誠にありがとうございます。読者の皆さんにも楽しめるように工夫したので、言葉を調べてくれてとても嬉しいです。引き続きお楽しみくださいませ。 (2020年1月4日 12時) (レス) id: 061e4a875f (このIDを非表示/違反報告)
我々だ大好き!(プロフ) - 凄いですね！ウルドゥー語かと思い翻訳してみると、一つ一つ意味があって面白いです！投稿頑張って下さい！ (2020年1月4日 12時) (レス) id: 33a2dbe98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おマロ | 作成日時：2019年12月25日 20時
