episode2 ページ2
｢太宰治お好きなんですか？｣
現在、学校図書館閉館前五分。
あの彼が、私に声をかけてくれた。
｢は、はい。教科書で見かけて気になって。｣
キョドって声が高く裏返る。
簡単な会話がすらりと喉を通らない。
それほどに私は、彼を意識してしまう。
誰にでも馴れ馴れしくタメ口を使う私でさえ彼の優しい敬語につられ、"ます"を語尾につけた。
…私らしくないな。
友人が見ていたら笑われただろう。
｢少し難しい話ですよね、人間失格って。｣
｢む、難しいですよね。｣
…難しいどころか1ミリも内容を理解出来ていない。
｢何度も読まれているのですか？もう1ヶ月になりますが。｣
｢一応何度か…。｣
何度読んでも理解出来ていないから1ヶ月も借りているだけなのだが。
てか、予定と違う。
私から声掛けてリードして…それで、それで、友達くらいには…なれたらなって、思ってたのに。
私がキョドってどうすんのさ。
完全に引きずられてる。
多分私顔真っ赤だ。
本の貸し借りの手続きの際の短いテンプレ的な言葉ではなく私に宛てて放つ言葉。
それだけでドキドキしてしまうのに、癖があるような低い声、
…控えめに言って好み過ぎる。
声フェチって訳では無いがこんな…こんなかっこいい声……。
好きな人の声ってだけで心臓飛び出そうになるとか、私だっさい。
｢一応？｣
｢え、えと、あ、…何度読んでもよくわかんなくて…。｣
バッカ私！インテリぶっちゃえば良かったのに。
さらにダサい……。
引かれるよな。会話、繋げなきゃ…
｢お、教えてください！自分、難しくて！えっと、あ、仰せがましいですよね？！えっと違くて…その！｣
パニックである、素直な気持ちを出してはいけないところで出した。
教えて貰いたいがそれはただただ、それはエーミールのこと見ていたい、近くにいたいってだけで……。
あー！あー！もう！わっかんない！
｢構いませんよ。また来週来てください、どうせ他の人来ませんから。…と、閉室して鍵を返さなくてはいけないのでそろそろ……。｣
嫌な顔せずに"構いませんよ。"って…
セリフまでイケメンですか。
｢ら、来週また来ます！失礼しました！｣
結局この日は逃げるように帰った。
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深夜テンションGirl(プロフ) - 日向マジ神さん» ありがとうございます。お気に召して貰えて嬉しいです！ (2019年2月23日 21時) (
レス) id: 2036bf2a01 (このIDを非表示/違反報告)
日向マジ神(プロフ) - エミさんの小説だったので見に来ました。個人的に好きなので、お気に入りしました。更新楽しみにしています。 (2019年2月23日 21時) (レス) id: a013c0197b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深夜テンションGirl | 作成日時：2019年2月18日 22時
