【MHA】紅音の翼 5【轟焦凍】 (ページ44)

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紅音色。196 ページ44

仮免許を貰い、並んで静かに立っている焦凍とイナサの方へと歩いていく。
他の皆はなんとなく察してくれたみたいで、周りにはいない。

腕を組んで仁王立ちし、目の前の2人を見据えて口を開いた。

『さて、2人とも。

さっき私はあとでお説教だと言ったが、あれは嘘だ』

「「...は？」」

『いやぶっちゃけもう仲直りしたみたいだしいっかなって。つーわけで解散。お疲れ～』

はい終わりー！とパン！と手を叩けば、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする2人。
いやだってさ...この期に及んで説教とかさ...無理...
だって言いたいことはもう言っちゃったし。あれ半ば勢いだったし。自分でもびっくりしてる。てへ。

そう続けて言えば、これまたぽかんとする2人。
ねえ～～その顔やめて～～...

かと思えば、イナサが真顔でずんずんとこちらに歩いてきた。

「A！！」

『おう！？な、なに...？』

一瞬逡巡した後に、彼は大きな声で言う。

「Aが轟と付き合ってるって聞いて、嫉妬してた。アイツより俺の方がAの近くにいたのにって、悔しかった！

だから、躍起になってたんス。Aにちゃんと見て欲しかったから。

でも、ダメっスね。今の俺じゃ、とてもじゃないけどAとは釣り合わない。
だから！Aに相応しい男になれるように頑張るっスから！！待ってて欲しいっス！！」

その真っ直ぐな言葉に、思わず声が漏れた。

『...へ？お前私のこと好きだったの？』

凍りつく空気、口をあんぐりと開けたまま静止するイナサ、目を見開いて硬直する焦凍。

どこからともなく無表情でダッシュしてきた響香ちゃんに、スパァン！！！と頭を叩かれる5秒前のことであった。完。