【MHA】紅音の翼 5【轟焦凍】 (ページ34)

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紅音色。186 ページ34

そんなことを思いながらそちらを見つめていれば、前方に影が差す。
何かと思って頭を上げれば、そこにはイナサの姿があった。
どことなく暗いその顔を、らしくないと思いながら話しかける。

『？どうしたのイナサ、そんな暗い顔して』

「...あの、A。もしかして、轟と付き合ってたりするんスか」

『あー...うん。そうだよ』

そりゃあんなことしてたらバレるよなぁ...と苦笑いしながらそう答えれば、「...そっすか」と返ってきた。
あれ、なんで元気ないんだろ。
そう不思議に思っていれば、「雄英とはいい関係を築きあげていきたい。すまなかったね」となんかもじゃもじゃしてる人が言い、私達に背を向けた。
みんないい関係、という言葉に引っかかったような顔をしている。私もだが。

そんな時、焦凍が歩き出したイナサに声をかけるのが見えた。
どことなく...というか普通に険悪そうな雰囲気を感じ取って、止めに入ろうとしたその時。

ジリリリリ！！とけたたましい音が鳴り響いた。
あまりに急なことだったせいか、皆一様に驚いている。

「ヴィランによる大規模破壊が発生！規模は○○市全域。建物倒壊により傷病者多数！

道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ！到着するまでの救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮を執り行なう！

＿＿1人でも多くの命を救い出すこと！！」

...救助試験、スタートだ！

さっきの試験はともかく、今度の試験は出来るだけ集団の方が良さそうだ。
その一心で目の前にいる緑谷達と一緒に行動している。
そんな感じで移動していると、「あ"あ"あ"あ"んたすげでええ！！」と泣き叫ぶ子供を発見した。

「あっち…！おじいちゃんが！！ひっ、潰されてえ！」

少年の言葉を受けて「ええ！大変だ！！どっち！？」とテンパる緑谷。
そんな緑谷の言葉にかえってきたのはおじいちゃんの所在地ではなく。

「なァんだよそれえ減点だよォオ！！

まず私が歩行可能かどうか確認しろよ、呼吸の数も可笑しいだろォ！？頭部の出血もかなりの量だぞォ！？仮免持ちなら被害者の状態は瞬時に判断して動くぞ！！

こればかりは訓練の数が物を言う！！視野を広くぅ、周りを見ろォ！！」

というお怒りのお言葉。
なるほど…実況とかの人じゃなく救助対象のHUCの皆さんが採点するってことか…！
どれだけ相手に気を配りつつ、かつ迅速に効率よく行動できるかが求められる。
救助に関しては経験の浅い私たちにしてみれば、超難関だ...！