【MHA】紅音の翼 5【轟焦凍】 (ページ22)

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紅音色。174 ページ22

「勝手によそ様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」

同じ制服を着た男の人が坊主の人へ声をかける。
心当たりしかないその名前に、顔が引き攣る。
あれ、もしかしなくてその人は、

『...貴方、まさか＿＿＿』

静まり返ったその場に響いた私の声に、その坊主の人はぐるんっと振り向く。
かと思ったら、キラキラとその目を輝かせてこちらへと走ってきた。
心做しか腕広げてやがるぜ。幻覚か？

「っAーーーーーー！！」

『やっぱお前かーい！！ってちょっまっぐえっ』

「久しぶりっスねA！元気してたっスか！？てか見舞い行けなくてホント申し訳ない！！」

『おう、久しぶり...てか下ろして...吐きそう...』

さて、ここまで何が起こったのかさっぱり分からないと思うので補足させていただこう。

イナサ、私に向かって猛ダッシュ→私の制止も聞かずに抱き上げる(1歩間違えればたかいたかい状態)→そのまんまぐるんぐるん回転する→私が酔った。

私が顔面蒼白なままそう呻けば、イナサは「ああ、しまった！！」と本当に思ってるのかと思わせるような表情で言った後、物凄く大げさな身振りで謝る。

「Aごめんっス！嬉しくてつい！！
どうも大変失礼いたしましたァ！！！」

『おーろーせぇぇぇ！！こんの馬鹿ぁぁ！！』

私を抱えたままごつんとおでこを地面にぶつけるまでお辞儀したイナサ。その腕の中で盛大に暴れる私。
ああほらもう...A組皆鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してんじゃん...

「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は！？」

「飯田と切島を足して2乗したような…！」

『きょ、かちゃん...たすけ...うっ』

「おい待てそれより誰かA助けてあげて！？吐きそうな顔してるよ！？」

そんな騒ぎが目に付いたのか、周囲がざわついた。

「まって、あの制服…」

「あ！マジでか」

「アレじゃん！！西の！！！有名な！！」

西…有名...？
あっほんとだ、イナサが着てるのって、

「東の雄英、西の士傑…」

勝己がポツリと呟いたのが聞こえた。

「数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵するほどの難関校＿＿士傑高校！」

だよね...士傑だよね...うん。
てかほんとに下ろせこんにゃろう。泣くぞ。