【MHA】紅音の翼 5【轟焦凍】 (ページ19)

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紅音色。171 ページ19

とまあそんな感じで数分悶えた後。
私は何事も無かったかのようにすっくと立ち上がり、特訓を始めた。

もう右半身からは赤い炎は出ない。不死身はそのままだから、燃えても治るけど...
炎のコントロールは得意だからいいとして、右の黒炎で出来ること、かぁ...

『こいつ、私が悪意持たなきゃ物は燃やさないんだったか...』

ボォ、と指の先で燃え盛る黒炎を見つめながらぼやく。
全っ然熱くない。むしろぬるい。
さて、どうするか...と考え込む。

攻撃系...燃やすのは左の役目。
なら右はどうする？
兄さんに手伝って貰って練習した時は、重いものを運ぶとかしかしてなかったよなぁ...燃えないのは助かるけど。
あと、出来るだけ血は見たくない。(自分のはいいとして)
うーん...

あ、そうだ。

1つの考えを頭に、黒炎で剣を形作る。初めてやったけど意外と上手く出来た。
これをこうして...と。

『そぉい』

間の抜けた掛け声の元、自らの腕にぶっ刺した。
...うん、熱くないけど普通に痛い。
でも、私がやりたかったのはただの自傷ではないのだ。断じて。

剣を刺したせいで血を流すはずの傷口を見れば、“予想通り”血は一滴も出ていなかった。
私はたしかに不死身ではあるけれど、流石に刺されりゃ血は出るし痛みもある。
だが、今は痛みはあれど血は出ていないのだ。
ならば結論は1つ。

『やっぱりこいつ、私の敵意あるなしでも操作できるけど...物理的に痛めつける時に傷つけるか傷つけないかも変えられるんだな』

ずる、と剣を腕から抜きながら呟く。
血は見たくないという私の思いに適応する個性になっていて助かった。
...まぁ、言い方を変えれば「絶対に対象を死なせない、痛みだけを与える拷問器具」にも成りうる訳だけど。そっちの用途で使われたらとんでもないことになるタイプの個性だ。
完全に闇堕ちしなくてホントに良かった...

そんなわけで黒炎の利点を見出した私は、「感覚共有の炎の鳥の要領で大量の剣やら槍やら矛やら斧やらを生み出して一斉に射出する」という必殺技の特訓に取り掛かることにした。

鳥は簡単だけど武器となるとそう上手くもいかないので、鬼のように練習する必要がありそうだ。しんどい。

自分の周りに生み出した炎の武器を大量に浮遊させながらげんなりしていると、どっかで聞いたことのある声が聞こえた。

「そこまでだA組！」