片翼の天使 Ⅱ (ページ39)

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竜胆は何も言わず、
私を落ち着かせるように強く抱きしめた。

竜胆｢A、顔みして｣

A｢ヤダ。見ないで。｣

竜胆｢チューしたい｣

A｢さっきした｣

竜胆｢足りない｣

蘭｢なぁ、雰囲気ぶち壊して悪ぃけどもういい？
俺Aと話してぇことあんだけど｣

突然現れた蘭に心臓が止まりそうになる
もーちょっと、と延長する竜胆を無視して私達の方へ近づいてくる

え、嘘…
待ってまだ…心の準備が出来てない。

蘭に謝って…

謝ってどうするの？

その後は、なんて言えばいいの

分かんないよ、分かんないの。

でも、このままなんて嫌だから…

蘭とまだ一緒にいたいから…

A｢蘭…ごめん、私…｣

あの時、ついカッとなって
思ってもない事を言っちゃったんだよ…

今更言ったって
言い訳にしか聞こえないようなその言葉は
喉の奥につっかえて出てこなかった。

" 私なんか、ニィの代わりに死ねばよかったんだ "

だって……事実だから。

誰も何も言わないだけで…
そう思ってる人も、いると思う。

私の心を見透かした様に、竜胆は私の手を握って
大丈夫だから。と優しく微笑んだ

蘭｢A｣

頭上から聞こえた落ち着いた声。

目線を合わすようにしゃがむ蘭と不意に目が合いそうになって
反射的に逸らした顔は蘭の手に包まれた。

蘭｢俺の事嫌いになった？｣

A｢そんなわけない！！｣

寂しそうな声に胸が痛くなった。

咄嗟に否定すれば蘭は安心したように微笑んで

蘭｢やっとこっち向いた｣

あまりにも優しい顔をするからボロボロと涙が溢れた

蘭｢泣き虫だなぁ…
オマエを泣かせちまったら竜胆に怒られんだろ？｣

A｢ごめ…｣

蘭｢俺も言いすぎた…ごめんな。
でも俺はオマエに生きてて欲しい
俺にとってAは大事な家族みてぇなもんだから｣

A｢か…ぞく？｣

蘭｢親がくれなかった愛も
オマエの兄貴が残した思いも全部…
俺が一生かけてAにくれてやるから｣

A｢蘭…｣

蘭｢俺の弟を頼むよ。｣

ギュッと抱きついて首元に顔をうずくめた

A｢ありがとう、蘭。大好きだよ｣

蘭｢ん…俺も。｣