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「 調べてみてな、すっげー雪って種類あんだな、ってわかったし｡それに全部が綺麗な名前じゃん」
「‥うん」
「お前が好きになる理由、ちょっとわかったかも 」
私が言った何気ないことを気にとめてくれて、ここまで熱心に応えてくれるとは思っていなかった。
‥‥少しだけ感動した｡こんなこと言っても誰も共感してくれないし、いつもはいはい、とあしらわれるだけだったから｡
「 ‥嬉しいよ、私の為にそこまでしてくれて 」
私の為ではないか、と自分でツッコミを入れながら呟くと英太は私の目をじっと見て言う｡
「 俺はお前の好きなものが知りたい、ただそれだけだよ 」
その時の英太の笑う顔がいつもに増してとても綺麗で｡大切なものを慈しむような、雪と一緒に儚く消えてしまいそうな笑顔で、なぜか直視できなくて顔を背けた。
‥‥なんで体が熱いんだろう｡
‥‥なんで胸が苦しいのだろう。
「 どうした？だいじょぶか？ 」
私の顔の前で心配そうに手を振る英太に、私はぽつりと漏らす。
「 ‥‥あつい 」
「 熱い？！？お前雪降ったの嬉しすぎて熱出たんじゃねーの？ 」
私の突飛な発言にあわあわと慌てた末、私の手を掴んで玄関へと、止めていた足を進めようとする。
「 朝イチから保健室とかお前ついてねぇなあ 」
「 ‥‥‥保健室寄らなくていいよ 」
「 でもこの時期に熱いとかおかしいし一応行こうぜ 」
あぁ、英太のお節介モードがオンである｡
こうなるとこいつは止められない。
きっと私は自分でこの熱の意味を知っている｡
好きな人いるって知ってるのに、知ったばっかりなのに。
あなたの笑った顔に見惚れて恋に落ちました、なんて言えるはずない。
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作者名：絢香 | 作成日時：2020年12月16日 0時
