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この時期となると先生から出るお話は専ら進路についてだ。私は高校を卒業したら就職予定な為、受験勉強云々についてはあまり関係がなく聞きすごすだけだが。
「 英太は大学行くんでしょ?部活引退したばっかなのに次は勉強尽くしかあ 」
お疲れ様だあ、と労うように言うと英太は苦笑した。
「 どっちも自分で選んだことなんだし、大して苦じゃねえよ。ほんとはもっと部活やってる予定だったからむしろ体力が余ってるくらいだ 」
そう、英太達バレー部は春高予選で負け、例年より早い引退を迎えたのだ。私も応援に行っていたのだけれど、絶対王者といわれる白鳥沢が陥落するなんて、ととても驚いたのを覚えている。
確かに、年明けの春高まで行くつもりだった身としてはそうなのかもしれない。それにしたって英太はちょくちょく部活に顔を出していると言うし、些か元気すぎやしないだろうか。
‥やっぱり名残惜しいからなんだろうな。
「 ‥‥部活、そんなに楽しかったの? 」
「 そりゃそうだ 」
なんで急に、と言いたげな顔をした英太に私は言う。
「 私は部活入ってなかったから、青春とかは無縁でさ。いいなあって思うんだよ 」
中学の時は活動なんてほぼなかった文化部で、高校は勉強についていくのに必死で部活にまで気を回せなかった。
下校時に部活に精を出している生徒を見る度に、羨ましいと感じ、そんな彼らがきらきらと目に映っていた。
「 セーシュン、ね。俺はよくわかんねーけど、お前もしてんじゃね? 」
「 ‥そうかなあ。でも大人になってから青春してたことに気付ける、とかテレビでも言ってたしそういうことなのかな 」
「 そーだそーだ 」
頷きながら、そういえばさ、と次の話題に入っていく英太の話を聞きながらふと考えた。
青春って色々な種類があるけど、恋人を作って学生生活を楽しむのも入るはずだ。
‥‥‥私、高校入って彼氏いたことない。
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作者名:絢香 | 作成日時:2020年12月16日 0時