ハリーポッター ◆ ～憐憫のサターン～ (ページ9)

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〜べる(夢主)視点〜

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精神世界的な空間。その空間で空間の暴力が、行われている。そんな光景を、間近で見せつけられている。
僕は、その場に茫然(ぼうぜん)と、立ちすくんでいた。
悲壮(ひそう)な表情で、怯え気味に、震えている。

薄暗い回廊(かいろ)のような長い廊下。

長く薄暗い回廊。
どんよりと、しとしとな雰囲気が、漂う廊下。
女性は、未熟児の赤ん坊を守るために、背中で魔法陣のようなエメラルドグリーンの閃光の魔法攻撃を、間に受けていた。

どん、どん、とエメラルドグリーンの閃光が、杖の先端から解き放たれる瞬間、女性の眼球に、エメラルドグリーンの閃光が、引っ掻くように当たる。

真っ白な、薄青色のブルーの瞳を持つ眼球が、真っ二つに切られ、血飛沫が飛び散る。その直後、ガックと、S字の背中のラインが、魔法攻撃のエメラルドグリーンの閃光に当たってしまう。

S字の背中に、大きな傷が出来、傷口から、これでもと言うように、血飛沫がブシュと飛び出す。

血飛沫が、廊下を埋める深緑色の壁紙、壁画、アンティーク調の家具までもが、真っ赤な赤黒色の血飛沫で染まる。

母親「うぐっ・・・」

かはっ、と嗚咽(おえつ)と共に吐き出す血反吐。唇の端から、ツーとしたるように、こぼれつたる。

ーーー

ちらりと誰かの気配を感じた蛇男は、僕の存在に気がついている。

しかし、僕の身体は幻想的な霊体。現実世界の身体ではない。だから、気がついたとしても、触れられない。
【触れられない】これが普通。過去に干渉する事は、【歴史】を変えてしまう行為。

時間の軸は、複雑で人間の芸当では、とてもじゃないけど、とうてい及ばない芸当だ。

母親らしき人物の亡き骸。亡き骸の前で、傲然(こうぜん)と、にやりと笑みをつくる蛇男。

『・・・っ』

僕は、正直寒気を感じてしまった。腐敗した腐心のような臭いを感じる。本能で拒む勢い。本能が感じてしまっている。危険だと。亡き骸の真後ろで、立ちすくんでいる。
僕は、亡き骸の姿を、視線で捉え、目蓋を閉じた。目蓋を閉じると、分厚い涙の光沢のような水滴が、ぽろりと、したり落ちる。

爛熟(らんじゅく)しきった林檎を、食べ舌舐めずりをする蛇のように、蛇男は唇の端から、スリムな舌を出す。

瞳の中に映る光景。映る光景は、今となっては遥か遠く。
遥か遠くの昔話。朽ち果てた物語。忘れさられたその先を、