ハリーポッター ◆ ～憐憫のサターン～ (ページ6)

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大空から牡丹雪(ぼたんゆき)が、パラパラとかなり少なくなって来た。
降り止む前兆かもしれない、現象が目の前で、巻き起こっている。

ハリーは、べるのローブの裾から、覗く手首の「稲妻の傷」が、とてもなく印象的に残ってしまった。

良くも悪くも、自分と似ている境遇と言うこともあって、
親近感が芽生えた。酷く荒れた手首の一部の肌。赤切りのような。霜焼けのような荒波の荒れ果てた砂漠地帯をイメージできる肌質。

ただ、その傷は「ヴォルデモート」から、受けた傷だ。
ハリーと、同じく、あの日のように、ヴォルデモートからの攻撃を、受けた。その情景が、能力に浮かび上がってくる。

そして深不思議な現象が、その場で、巻き起こる。ハリーとべるが同時に、頭を押さえた。

頭痛だろうか。ハリーは、額の稲妻の傷を抑える。そしてべるは、手首の稲妻の傷を、ぱっと、手のひらで隠して抑える。べるは、頭がぼんやりとして来た。瞳も虚(うつろ)になっている。半開き状態。

意識が、朦朧としている状態で、べるは意識は、しっかりと保つ。ここで２人共に、倒れたら、世話ない。頭の中には、あの嫌で悪趣味なエメラルドグリーン調の閃光(せんこう)が、ぴかりと光る。

〜【過去・回想】〜

べるは、その情景から見覚えがある女性の声や姿を、聞いたり、見たりしていた。

ブラック家自慢の黒髪で、こしが強い艶やか黒髪。見事な代物だ。すると、その女性は、未熟児の赤ちゃんを、抱きしめながら、涙を流している。

その未熟児は、脆く、産声をあげている。まだ薄い後頭部に、黒髪が薄く生えて来ている。抱きしめている母親は、黒色のタイトなドレスみたいなワンピースを着ている。腹下あたりの生地には、銀色のスパンコールが、きらりきらりと、つけられている。黒髪の女性の正体が、べるは理解できた様子だ。

『お母さん。』

お母さんの腕の中には、未熟児が抱かれている。
自然素材で作られている毛布で、くるくると巻かれている。
未熟児の赤ちゃんは、光るエメラルドグリーン調の光に、
気がついた。その光は、屋敷の窓口から、スタンドガラスから、漏れている。
産声(うぶこえ)を上げる未熟児。何もかも小さい生命。

母親「まさか、やつが。」

額から、滝汗を流しながら、屋敷の奥の部屋に、隠れに向かう。母親の、その切羽詰まった状況から、あの日の夜の映像だ、と理解する。

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