ハリーポッター ◆ ～憐憫のサターン～ (ページ5)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:1,862 hit

第2章56 ページ5

ーーー

「あいつ」と言う単語を、言い放つ声は、金属も焼く勢いがある。
重々しい声で、渋い声。女の子が、誰もが出されるような声質ではない。
アルトボイスよりも低い。動物の音波のようなイメージが、浮かび上がってくる。僕は、目の前のべるに、視線を寄越した。

すると、べるは、右手のローブの裾を、ぺらりとまくりながら、僕に、白く透ける幽霊のような肌の手首を、見せてくる。すると、僕はある違和感に、襲われた。

あの日の「蛇の声」「男の声質」が小耳の鼓膜に、響いた
番線を叩いてくる。
脳裏のシードが、ばりんと、硝子細工のように、割れる。

白く透ける幽霊のような肌の手首には、僕と同じ「稲妻の傷跡」が、彫られていた。

焼印のような、荒れた肌と皮膚と皮膚が、うまく結びついていなくて、クレパスのような、割れ目がある。乾燥が原因かもしれないけれど。

腫れた肌と、荒れた肌。傷口を直すための瘡蓋(かさぶた)が、敷き詰められている。相当な痛みを経験していると僕は思えた。そして、僕は。

「そいつの名はヴォルデモート？」

べるは、黙って頷いた。

ーーー

〜ハリー視点〜

『嗚呼。ヴォルデモート。あいつのせいだ。
いや正確にはヴォルデモートの信念だけど。』

僕は、今まで穏やかで優しそうな雰囲気のべるが、
こままで「ヴォルデモート」と言う単語を、怖がらずに、おくびにも出さずに、解き放たらのは凄い強さだと。

優しさの中に、凛とした芯をお持ちのようだ。軸となる目標や目的があるため、その上の努力だと僕は感じた。

以外にも革命的なマインドを持っているべるに、僕は親近感を、抱いた。

レイブンクローの寮の紋章は「鷹」だ。濡羽色の羽を持つ。濡れた佇まいの雰囲気を持つべる。腹のそこは、何を考えているのか分からないところがある。ミステリアスな雰囲気を持っている。いわゆる一匹狼的なイメージがある。ただ内面的な部分に、僕はクールだと思えた。

僕はただ、複雑な心境である「ヴォルデモート」と、言う単語と共通点があった。

無秩序の一歩手前の一面があり、裏で僕の味方をしてくれる存在であり、一枚岩になってくれる存在だと、僕は思えた。
イメージで言えば「カラス」のように、青空から地上を、
俯瞰して見下ろしている。フィールドを把握するイメージだ。べるの「俯瞰能力」は今後、生かせると思えたよ。

僕はね。べる、君の「強さ」を信じているよ。

あいつ、ヴォルデモートに。
両親を殺された者同士として。