ハリーポッター ◆ ～憐憫のサターン～ (ページ26)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:1,866 hit

77 ページ26

ーーー

11歳だ。
本来なら、まだ死の概念や生の概念などを根本的に考えない年頃だ。
身内の死をきっかけに、人の生き死にに興味を見出すぐらいしか普通なら至極当然だ。
しかしべるやハリーは違う。ヴォルデモートに命を狙われているからだ。本来の年頃と離れた場所に立つ。

すくすく育つはずが、ハリーの場合は魔法族の子供と隠されて育つ。赤ん坊の時に死の魔法に打ち勝ったハリー。
唯一の生き残りだ。ある意味、べるも生き残り。
殺し損ねたような感覚だろうか、遊び半分で冷やかしに行く。
そんな遊び半分の冷やかしで命を奪うなんて暴力的だ。
べるは、自分が未熟児で生まれ、ある日ヴォルデモートの青年に母親が襲われた。
ある意味、一生をかけて分泌されるアドレナリンの量が、
今世紀の1世紀分生きている者のアドレナリン量が分泌されてしまっている感覚。
【身分扶桑】だ。なんとも【愚かな、哀れな】だろうか。

そんな事を考えていながら、グレイは仕事に戻り、ボグワーツの見回り。
グレイからの提案でルシウス・マルフォイに相談すると良いと言われたが、何処となく嫌な予感がする。
頭痛の種だとわかっていながらも深読みしてしまう。頭を悩ませながら、シャワー室に直行する。
トイレとシャワー室がある部屋に行く、夜のボグワーツは静かで不気味なほど。
幽霊屋敷かと思われるほどに静か、新鮮な空気が冷たい。

ハリーはまだ起きていない。ハリーが起きたら、これからの作戦立てだ。もっと戦略を練らないといけないと心に誓う。
誓いながら、ボグワーツの渡り廊下を歩き、シャワー室が視界に入ってくる。
べるは、真っ暗な闇の中のシャワー室に、迷わず入っていく。
シャワー室は本当に不気味なほどに静か。その上、黴臭い(かびくさい)。水が溜まったままで後片付けをしないで済ませた跡地。そんな跡地のシャワー室に入り、べるはホグワーツのローブを脱ぎ、シャワー室の前に置いてある箱に入れる。
ローズを入れ、シャワー室の蛇腹状(じゃばら)のカーテンを閉める。
シャワー室の蛇口を捻る。蛇口を捻ると、頭上から水が噴射する。
噴水のように水が溢れ出る。頭上から、水を被り、髪の毛と身体を流し洗う。
汗びしょである身体に冷たい水は気持ち良い。前髪を懺悔でもするかのように、鷲巣みにし、前髪を真後ろに垂らす。
垂らすと、シャワーの水が、どんどん台風のように水が暴れだす。
シャワーの蛇口から、水道管を渡って嘆きのマートルが来場。