儚く散る (ページ10)

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渡辺side

あれから2ヶ月

変わったことはあれど平穏な日々を送っている

メンバーは一切来なくなったし、連絡も寄越さなくなった

ただ、何度拒絶しようとも諦めず病室に訪れるやつが1人

「翔太入るよ～」

『…涼太』

俺の幼馴染であり恋人の宮舘涼太

こいつだけはずっと来ている

『いい加減諦めろよ、帰れ』

「え？いいじゃん。折角来たんだし」

『折角って…昨日も一昨日も来てんじゃねぇか。それに何度も言ってるけど俺は別れるから』

「やだ」

『別れる』

来る度同じような会話を毎回してる

「……本心は？俺の事嫌いだ、帰れって言うけど何で面会拒否しないの？連絡先ブロックしないの？」

『…』

「言いたくなかったら別にいいけどね。まぁ今日は着替え持ってきただけだから」

そう言うと両手に持っていた紙袋をガサゴソと漁りだした。

心を見透かされてる感覚だ

いつもそうだった

必死に気持ち隠しても涼太には全部お見通しで、敵わない

多分この気持ちもとっくに察してる

分かっててもそれを言わないのは、それを口にされたら困るから、だよな。涼太

『なんで諦めずに来るわけ？』

「んー、好きだから意外に理由なくない？笑嫌って言われても俺は好きだし会いたいから来てる。それだけだよ」

『………なぁ、ひとつ聞きたいことあんだけど』

「ん？なに？」

『昔お前が言ってた「翔太の願いは全部叶えてあげたい」ってやつ、まだ有効？』

動かしていた手をピタリと止めて少し考える涼太

暫くの間沈黙が続いた後、俺の方を見て言った

「有効…って言ったら？」

何処か悲しげで困った顔をする涼太

こんな顔されたら、言えるわけない

一緒に死んでくれ。だなんて

『んー何お願いしようかなって。飲みもの買ってきて、とか？』

「………ねぇ、なんで言ってくれないの？本当の気持ち」

あぁ、やっぱり全部バレてる

ほんと敵わないな涼太には

『……だって、察してるのに何も言わないのはお前がそれ言われたら困るからだろ』

「……」

『俺と一緒に死んで。なんて思ってても言わねぇよ。悪いな』

「ごめん……」

『なんでお前が謝るわけ？誰もこんな願い叶えられないだろ』

「昔の俺なら叶えてあげられたと思う。けど今の俺は……」

『もういいよ別に、たださ』