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気がつくと空は赤く染まっていて夕方だということを告げてくる。今日の授業は何も集中出来ずにいてノートに何も取れてない。
「やっべ」
周りを見ても誰も居なくていつもは居るはずの永田でさえ居ない。こういう肝心の時に限って居なくなる。まぁ、仕方ないと言えば仕方がない。
「気まずいのか…あいつに限ってそれはないか」
「あの、益田くん」
「えっ、あ、浜崎さん」
はい、と言って俺に渡してきたのは5冊のノート。なんだろうと思ってペラペラめくると今日の授業内容のノート。
「ノート取るのかなって思ったんだけど違う?」
夕日のせいなのか、間違ったかもしれない恥ずかしさなのか浜崎さんの顔は少し赤みを帯びている。
「ううん、ありがとう助かるよ」
「良かった」
ふにゃ、と目尻を下げて笑う浜崎さん。相変わらず変わらない可愛い笑顔で癒される。
「明日返せばいい?」
「ここで待ってるよ」
「分かった、急いで写すね」
俺の前の席に座って写す作業を見ている。少し恥ずかしさを感じてやりにくいけどそんなこと言ってられない。
「字、綺麗だね」
「そう?浜崎さんの方が綺麗だよ?」
「私、癖字だから…」
しばらく無言になって、気まずくなる。静かな教室には時計の針が進む音とシャーペンの進む音しか聞こえない。
「ねぇ、益田くん」
「ん?」
「これって、益田くんで合って、ますか」
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きるあ(プロフ) - 更新頑張ってください!! (2017年12月8日 15時) (レス) id: 66ce974704 (このIDを非表示/違反報告)
くとうてん(プロフ) - らいふさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです〜!これからも頑張ります! (2017年11月26日 10時) (レス) id: 0d4d98a529 (このIDを非表示/違反報告)
らいふ - 凄く綺麗な文章だと思いました。 お話自体も面白くてキュンキュンしました。 更新、頑張って下さい。 (2017年11月26日 2時) (レス) id: 378f2d202e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くとうてん | 作成日時:2017年8月30日 10時