幼馴染。 (ページ1)

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『、苦しい』

「え！A大丈夫！？救急車！？」

『うっるさいな～、体調的なことじゃなくて

心の問題！こ、こ、ろの！分かる？』

絶賛失恋中のわたしは今日も、元カレを見て

落ち込む。

放課後の教室。別れて3日経つ元カレの隣は

もう違う女の子の定位置となってしまった。

わたしと違ってふわふわした可愛い子。

正反対な人と付き合うとか、

それがまた、むかつく。

「んなやつ早よ忘れればいいやん。所詮そん

くらいの男やったんやから」

『はぁ、廉は分かってないな』

付き合ってる時はもちろんいつもわたしを

1番に考えてくれる元カレだったから。

優しかったから。

そんな姿を知ってしまったから、忘れられな

いっていうのに。

「、分かってないのはどっちや」

『え？』

「だから、分かってないのはどっちやって」

『ん？言ってる意味が…』

"ちょっとこっちきて"

前に座る廉が、突如私の手首を掴んで

そう言った。

『廉？どうしたの？』

「いいから」

私の問いには答えないで腕を引き、歩き始め

る廉。

教室を出るまでにわざわざ元カレの横を通っ

たのは絶対わざとだ。

廉の歩くスピードが速いせいで避けきれなく

て少しだけ元カレにあたってしまった。

チラッとこっちをみた廉が"チッ"と舌打ちを

したけど、不可抗力だから仕方がないし

舌打ちをされる意味も分からない。

『廉、本当にどうしたの？』

目的の場所に着いたのか、はたまた行き先は

決めてなかったのか、

廉が止まったのは、今はほとんど使われて

ない教室の前。

「むかつく」

『へ？』

「なんで全然気づかんの？」

『だから、なにが「幼馴染としてしか見てく

ないん？」

『ちょ、廉、近いよ』

私の両肩に両手を乗せて、こちらを伺うよう

に見てくる廉に思わず後ずさりするけど

すぐに感じる背中の冷たさが、これ以上は

逃げられないことを教えてくる。

「逃げんといて？ちゃんと俺のことみて」

『、、っ』