dande lion ページ5
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あれからどのくらい経ったのかは 覚えていないほどに 目まぐるしく時は経っていった
光のメールも返せる時は返すようになり 毎日返していたあの頃に比べて 俺が光に対する感情が薄れていくような気がした
光が居なくて 寂しいままじゃないかと思っていたが思いのほか
独りを耐えられる強い自分を手に入れていた
このまま 光を俺のモノにしていていいのか 光を俺が縛り続けていていいのか
もしかしたら光は俺の事が好きじゃ無くなったかもしれない でもあの光だそんな事を思っても口には出さないだろう
酒を口にする度に頭の中に出てくるのは光ばかり いつもはここで眠気がきて行動には移せずに 眠りに落ちるのだけれど、
今日は何かが吹っ切れたようにスマホに手を伸ばした
午後11時 ワンコールで光は俺の電話に応えた
「 やぶ? 久しぶりだね 〜 、 どうしたの? 」
光は待ち望んでいたかのように 、 まるで子供のような声色だった 俺が今から話す内容は 光を楽しませるような事じゃないのに
『 なぁ、光 俺達 分かれない? 』
「 わかれないよ 絶対 」
光の返事が早すぎて 俺は少し戸惑ってしまった
『 は? 』
「 だから聞こえなかった? 俺は薮と分かれる気なんてさらさらないよ 」
しっかりと真のこもった声
俺の決死ともいえない覚悟はいとも簡単に揺さぶられていた
『 いや、だってさ光俺らもうどんだけ会ってないか分かる? それにさもうそろそろ新しい人に目を向けた方がいいと思うんだよ
俺ら高校から付き合ってんだよ? もうそろそろ時効じゃね? 』
さすがにこの言葉は光にも響いたのか黙り込んでしまった 、 このまま何も言わずに終わったらそれはそれで丸く収まる事だ
『 まぁ、 いいや とりあえず俺は光と分かれたい そんだけ じゃあな 』
電話を切ろうと耳から離した瞬間
「 嫌だ!! 俺は薮と分かれたくない! 俺が、俺がついて行かないって言ったのが 嫌だったの?
それだったら 今からでもそっちに 行くから、 お願い、 分かれるなんて、 言わないでよ 」
「 お願いだから薮 、 俺には薮だけなんだよ 」
そう言い放って 電話は切れていた 。
( タンポポ )
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作者名:幾夜 | 作成日時:2018年1月4日 10時