遅かれる春は.2 ページ4
その男性は私の方へ振り返ると、なにか疑うように私を見やった。
後ろ姿だったから分からなかったが、その人はマスク姿だった、目元だけでも分かる。
すごく童顔、だけれどカワイイ系のイケメンくん
まあそりゃあ高級マンションで暮らしているぐらいだから、それなりの有名人とかか、この人体格はいいしアスリートとかかな。
ただの単身赴任なのにこんな高級マンションを使わせていただいているのが少し悪く感じる。
これが罪悪感というものなんだろう、
「あなたアジア人ですか」
『そうですけど』
「…」
当たり前のように答えると、その男性は少し悩んだ顔をしていた。何故か、私のことで悩んでいるのではなく別の人物のことだと察した
手の仕草、眼の動き、瞬きの回数。それだけでは無いが男性の動きを見てどこかこの人は自分のために生きている訳では無い気がしたのだ、
外は雨、エレベーター前でこう男女が喋っているのは何かよからぬことかもしれない。ドイツだし
『あ』
ぴちゃりと慕った水の音、その正体は私が持っていた傘だ。よく水滴を振り払ったつもりだったが、やってしまった。
水滴は私の焦りを嘲笑うかのようにドンドン下へ流れていく
このままじゃこの人のチェスターコート(高級)を汚してしまうかもしれない、それだけは嫌だ。
『すみません、そろそろ』
そうしてエレベーターのボタンを押す。
こんな会話の切り方で良かっただろうか、まあそんなことよりも早く部屋に戻って傘を立て掛け、高級ベッドへヘッドスライディングしたい気分だ。
「ちょっと待って」
さっきより少し大きい声が鼓膜に響く、なんだ。
やっぱりナンパか?ナンパなのか?有名人らしき人がこんな凡人の社畜に声をかけてもいいのか?
「あなた、僕の事知りませんよね?」
知りませんよね?=ドイツ人は皆知ってるような有名人="""なんか言われる怖い"""
「ちょっといいですか」
今度は私か後ろを振り返る番だった。
男性はおもむろに付けていた黒いマスクを取り、口を開く
「付き合って貰います。」
『…はい???』
3人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉子ぷりん - とても面白かったです!これからもおうえんしてます!あとpixivもやられてるんですね、チェックしまS(((殴 (6月25日 18時) (レス) @page15 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
玉子ぷりん - 頭沸いてるって(笑)話も題名も見ててワクワクします!更新楽しみです!応えんしてます! (6月6日 23時) (レス) @page6 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なぅ | 作成日時:2023年5月24日 21時