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｢う、あちゃあ…｣
｢おあ"ぁあああ残機ゼロ！！！！
終わったあ"ぁ｣
イッテツが選んだカセットは、昔2人でよく遊んでたレトロゲーム。懐かしの古びれた、ところどころ傷がついたものだった。
ゲームは好きだ、よく仕事終わりや休日に遊んでる
だから新しいものはたくさん並んでいるのに、イッテツが選んだのは、2人でよく遊んだそれだった。
｢テツ、もう4時間遊んでるよー｣
｢うわー昼過ぎじゃん｣
｢いつ帰んの？｣
｢今日中には帰る…か、拠点にみんないるだろうし｣
みんな、か。
ヒーローは何人もいる、イッテツ達からしたら仲間と呼ぶのだろう。イッテツには、何人もいるんだろう
頼れる存在が、そして頼られる存在が
14時過ぎの陽の照りは眩しいものだ。
襖から細い線がベッドを照らす、埃が反射してキラキラと光って見える。
あ、そうだ
｢ねえテツベッドの日向のところ見て、埃がキラキラして見えるでしょ
あれチンダル現象って言うんだよ｣
｢チン、ダル？｣
｢下ネタじゃないからね？｣
｢な、ばっ！！考えてないし！！｣
テツは嘘をつくのが下手だ。
正直者と捉えるか、馬鹿だと捉えるかは自由だけれど
｢ねぇ、テツこっち来なよ気にしなくていいから｣
｢え"、いやそれは｣
｢いいから｣
こっち、というのはベッドに寝っ転がれという意味
長時間日向に当てられたマットレスは暖かい。
日向ぼっこは気持ちがいいから
布と布が擦れる音がする。人の肌は暖かい
しばらく実感していないと、ジーンと心が浄化される感覚に浸る。
｢テツ、私さ｣
自分が1番だと思ってたんだ、イッテツの
自意識過剰だと笑ってもらった方がこの際楽だと思うのだ。心変わりというのは、とてもできそうじゃないから。
｢…なにが？｣
｢はい？｣
｢今でも1番でしょ、Aチャンは
おれ、女の子と初めて喋ったのAだったし、いやぁその、優劣をつけるのもあれなんだけど……ってまたぁああ！？｣
ポタポタと染みをつける涙はとても鬱陶しい。
それでも、これは悲しい方なんかじゃない。
｢かん、ちがい、だったんだ｣
見当違いだった。
私が勝手に決めつけてた、もう私はイッテツの何物でもないんだって。
｢Aさんさぁ、いっつもなんつーか、そんな顔してたよ。孤高みてーな
でも今は、なんか違う。｣
オレも居るもんね
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作者名：なぅ | 作成日時：2024年3月5日 22時
