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ボロボロと流れる涙に震えた手でそっと添えるイッテツに嫌気がさした。
メイクが滲んで酷い顔をしているはずなのに、
｢ちょ、っとメイク崩れ、る｣
｢でも、拭かないと後々荒れちゃうだろ｣
そんなの気にしなくていいよって、触るのだって怖いくせに何言ってんだって、突き放せたら楽なんだろうなと何故か達観して見れた。
私って醜い
イッテツのなりたいことも、やりたいことも、全部肯定出来なかった。し、彼が優しすぎたせいもあるだろう
頭悪いなー、いくらなんでも大好きな人相手に｢無理だよ｣って夢否定するのは馬鹿がやることでしょ。
知ってはいるんだよ、イッテツがそこら辺の人間よりも絶対に強いって
｢人間ってさ、脆いんだよイッテツ｣
｢…知ってるよ、Aよりも知ってる自信あるし｣
それもそうか、いくらなんでもヒーローだ。
人が死ぬところ、いっぱい見てるんだろーなぁ
｢馬鹿だなぁお互い｣
｢Aは俺よりも賢かったケド｣
｢そういうことじゃないよ馬鹿｣
｢馬鹿でもなんでもいいわー｣
｢ヒーローだったら？｣
｢絶対的にな｣
｢細かいメんどくさい｣
｢えぇ面倒臭いのもお互い様な気がするけどー
…おやすみ、A｣
お酒の力もあったのだろうか、それとも深夜にこんだけ泣いてたからかな。
いつの間にか瞼が重くなっていって、そのまま寝ちゃって、朝起きたらいつものベッドの上でびっくりした。
なによりもびっくりしたのは
｢…そんなに母さんと仲良かったっけ｣
｢ん、おひあへふいはおひひひゃいさつひたへほ｣
｢飲み込んでから喋りなよ｣
｢ふぅーい｣
何故か私のご飯とテツの分のご飯も用意されていたこと。母さんはどうやら作ったあとすぐに仕事へ出掛けたらしい。
｢今日久しぶりにゲームしない？｣
｢…いいけど｣
テツはなにも追求してこなかった、昨日大泣きしたこととか、3年前に私に言われたこととか
変なところ真面目で、優しくて面白くて、そういうところだよ、と自然に言ってしまいたくなる人
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作者名：なぅ | 作成日時：2024年3月5日 22時
