理想.4 ページ5
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国見「Aさんってさー、意外と鈍感?」
なに、それ
わたしは"鈍感"その意味が一瞬よく分からなくなった気がした。
遡るは3分前、「国見英」が口を開いたのが始まりだった。
『寝てた…んじゃないの』
国見「うるさかったから起きた」
明らかに疑問の表情をしている私とは、対照的に国見くんは呑気な顔で欠伸をこきやがってた。
『そう、…バレー部って月曜休みなんだ』
国見「うん、俺今日が月曜日なのさっき気がついた
金田一来ないし」
"金田一"これも初めて聞く言葉では無い、あのでっかいツンツン頭のことだろう。
重たそうなまぶたを、ギリギリ持ち上げられてます。みたいな国見くんの表情がムカついた。
いや、決して顔にイチャモンをつけたいのではなくなんかもう
じゃあ帰れよ
って言いたくなるのだ。
私の知っている国見英という人物は要領が良く自分に正直だったと思う。
自分自身をよく理解してやりたくないことがあったら上手くサボれる。
そんな人
『じゃあ、帰れば』
国見「本当に?それ、大変なんじゃないの」
国見くんは視線で、私の机に埋まっている資料を示す。
余裕がある、そんな感じだけれど
そして、次第に私達はお互いを挑発をかけるようにして会話が進んで行った。
国見「ねぇ、この紙とこの紙って一緒でいいの?」
『あぁ、うんそう』
結局手を借りてしまった。
それでも私と国見くんとの一方通行な雑談は止まらない。結論が出ないから
国見「バスケ部の石川と仲良いんだね」
『なんでよ』
国見「この間の昼休みの話聞いてたから」
『へぇ、』
いや、アンタ寝てたじゃん。
あれって案外振りだったりするのか
『金田一くんってあの髪の毛のセット方法どうなってんの?』
国見「聞いたことない」
『そう…』
話が、距離が
一生一方通行だ。
なんかそう思うと、途端に気が引けてきたな
相性、合わない気がする
国見「こっち、半分終わったから」
『うん、ありがとう』
ホッチキスを動かしながら、モブ菜の言葉を思い出す。理想の人…
私にとっての理想に1番近い人物が国見英というだけで、付き合う付き合わない、とかそういう話なわけじゃない。
ただ、確実に惹かれているということだけ
国見「好きなタイプとか、ないの?」
その話題は、突如と私の目の前に現れた。
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作者名:なぅ | 作成日時:2023年5月18日 21時