＊東京貧乏ストーリー＊１ ページ14
「ただいま〜」
ガチャ、と玄関のドアが開く。
まぁただいまと帰ってくる人間は一人しかいないので、誰？と思うこともないんだけど
ただいまと帰ってくる人間がドアを開けた瞬間に顔が見えるのはなんか、こう、つまらないもんだなと思う。
智「･･････おかえり(ハァト)って言ってよ」
大野智。
俺の同居人がブッスゥとふくれっ面で俺を見るのをチッと舌打ちで返した。
智「冷たっ！翔ちゃん冷たっ！」
玄関、と呼べるのか狭い狭い「靴を脱ぐ場所」から智くんが部屋に入ると
ミシリと古い畳が軋む音を出す。
翔「･･････ああ････帰ってくるのが可愛い女の子だったらな〜〜」
智「･････翔くん、心の声ダダ漏れだよ」
翔「オッサンの顔を毎日毎日･･････」
智「翔くんもオッサンじゃん。ねぇねぇ腹減った。飯なに？」
翔「カレー」
俺は一つだけのコンロの上で鍋をグルグルと、お玉で混ぜる。
翔「つか、カレーって分かるだろ。この部屋に充満してるカレーの香りで」
智「･･････カレー何日目･････」
智くんが目深くかぶっていた帽子を脱いで、髪をぐしゃぐしゃとかきあげながら呟く。
・
・
翔「５日目ですけどなにか？」
智「今日こそは肉入ってるよね！？牛じゃなくていいよ！ブタでいいから！鶏でもいいから！」
翔「入っていません」
智「うわーーーーーん！！！」
・
・
カレー皿、といってもこの皿に俺達は焼きそばも炒飯も入れるけど。
というより皿は１枚しかないけど。
そこに白米をこんもりと盛る。
翔「米は食い放題だ！たんと召し上がれ！」
智「それ俺が景品で貰ってきたやつじゃん！」
翔「魚沼産コシヒカリ３０キロ。智くんが芸能人で良かったと初めて思ったよ」
智「神戸牛１０キロが良かったな〜」
翔「しょうがいないだろ、智くんブービー賞だったんだから。でもさ、こうやって
食い物貰えるんだったらもっとバラエティ出たら？」
智「クイズ番組に出るとバカがバレるからもう出さないって事務所に言われた」
翔「正しいな」
・
・
肉の入っていない５日目のカレーの前で「いただきます」俺達は手を合わせた。
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なるちゃん(プロフ) - すごい。まるで映画のようだ！ (2017年3月23日 8時) (
レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ももも(プロフ) - 初めまして。ある方からの紹介で読ませていただきました。オイシイアイを読ませていただきました。涙が止まりません。本当に素敵なお話で感動しました。一瞬で貴方様のファンなりました。大好きです。 (2015年8月9日 21時) (レス) id: 73a4577f66 (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - 読んでて最後まで読みながらだんだん口がぽっかーん。驚愕すぎて、ニノの話を置きながらこんな風に繋がって…すごい…すごすぎる。心にすんごいしみました。切ない。叶わない兄弟愛…。それに相葉ちゃん。結婚式で逮捕なんて…。もう涙が溢れそうです。 (2015年6月16日 22時) (レス) id: ee48ebbedd (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - 何とも言えないくらい、染み込みました。二宮さんの話からこんなふうに、綴られたお話に切ない気持ちで一杯です。 (2015年2月12日 11時) (レス) id: 404997240f (このIDを非表示/違反報告)
mahiru(プロフ) - お話の底辺にある二宮さん。せつなかったです。読み進める度に感動と、切なさと、儚さと染みました。瀬音さんの世界観があまりにも広くてびっくりしてしまいました。また読みにきます！！ (2014年11月20日 2時) (レス) id: 9bfa1875f0 (このIDを非表示/違反報告)
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