ノラネコ (ページ27)

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気がつくと白い天井が見えた。

母「A……？気がついた？」

お母さんの顔が入り込む。

貴「ここは…？」

母「病院。」

私が状況を把握するのに時間はかからなかった。

自然とお腹に手を持っていくと
お母さんの手が重ねられる。

母「赤ちゃんは…残念だけど…」

言いづらそうに、だけどちゃんと私の目を見てお母さんは言った。

流産、なんてよくある。
この歳だし、まだまだチャンスはある。
だけど私は涙が止まらなかった。

目が覚めて何も問題なかったから
帰宅していいことになった。

貴「ねぇ…大我は？」

一緒にいたはずの大我の姿を目が覚めてから
1度も見てない。

母「私たちが病院に着いてすぐ、どこか行っちゃったのよ。」

父「車、取ってくる。」

暗闇からこちらに向かって走ってくる影。

大我だ。

父「お前…！今までどこに！！」

お父さんのことなんて気に止めず
私のところに一直線。

貴「大我……」

肩で息をしてて色白の頬が赤くなってる。

大「ずっと、お参りしてた。」

手に触れると冷たくて

貴「ごめん、大我…
もう赤ちゃんいないの…。」

悔しくて悲しくて
大我の手をぎゅっと握りしめる。

泣き崩れる私を抱き支えてくれた。