集中力の無さ ページ10
あれからまた30分ほど経過して、どんどん人数が増していくのをただ何も考えずにぼーっと見ていた。そろそろ私に効く一番の睡眠薬は何も考えずにぼーっとすることだと立証されそうだ。
けれど、どんな眠気も覚ましてくれるような強力な目覚まし時計が、ジリリリリ、と大きな声をあげて鳴り響いた。
サトツ「ただ今をもって、受付け時間を終了いたします」
目覚ましもピタ、と音が止んでしまう。私の睡魔はどうやらしつこいやつのようだ。
サトツ「ではこれよりハンター試験を開始いたします」
試験官だけが話す空間で、あたりの空気はピーンと張りつめていた。眠そうにしているのは私だけだと見受けられる。
サトツ「さて、一応確認いたしますが、ハンター試験は大変厳しいものもあり運が悪かったり実力が乏しかったりすると、ケガしたり死んだりします。先程のように受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々ございます」
へぇ、そんな血の気の多い人が紛れ込んでいるのか。
サトツ「承知しました。第一次試験404名全員参加ですね」
ということは、彼が一次試験の試験官か。それでは一次試験の内容はつまるところ、この長い地下道を走り抜ける体力テストみたいなものだろう。この受験生の速度に合わせるのはなかなか辛そうだ。そう考えている間に、もう他の人は走り出していた。
サトツ「申し遅れましたが私、一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へ案内いたします」
あぁ、そうだ。次キルアと話すときはどんな話題を持ち掛けようか。そうだ、彼は家の話を聞きたがっていたし、してくれたから、私も家の話をしよう。吸血鬼が弱い村人を次々と虐殺して金品を奪う話。でも吸血鬼は弱い。せっかくの晴れの日に空を見上げることができないのだから。
虐殺はやめて、世界で一番弱い吸血鬼の話にしよう。
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ナツメ(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます!奈乃さんからのお言葉を励みに頑張ります! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
奈乃(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 26a98954d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツメ | 作成日時:2017年8月2日 12時