すぐ逸らした ページ9
それから30分ほど話し込んで、彼とはそれなりに面白い話ができた。会ってから間もない私達の会話のほとんどは質疑応答であったが、一番に面白い情報はやはり、お菓子のために2億ジェニー使ったことだろう。
もっと話したいところだけど、お互い深入りしてはいけない立場だ。勿体無いけど………
「キルア、相手をしてくれてありがとう、これでもう缶ジュースの借りはチャラだよ」
私がおもむろにそう告げて立ち上がると、不満そうな声が飛んで来る。
キルア「は？そんなの別にいーぜ。まだ時間あるし、お前の家のこと聞かせろよ」
その質問からはなるべく逃げたかったが、キルアは許してくれなさそうだ。
「だから吸血鬼だってば」
キルア「嘘だろー」
そういう彼の顔がやたら子供っぽくみえて、また笑ってしまった。
そうだ、そういえば、嘘つきの笑顔は本当の笑顔なのかしら。例えば、善人は楽しいときに笑うのなら、嘘つきは悲しいときに笑う。でも今、私は嘘つきのくせに楽しくて笑っている。
でも、私が嘘つきだと知っている人は私の今の笑顔を悲しいときの嘘の笑顔だと思う。それなら、私はまた嘘つきになっちゃうな。
「あははっ、そうか…じゃあ、これからキルアは、私が吸血鬼じゃない証拠を探すために私と話す。私は、キルアの隙をついて血を吸うためにキルアと話す、っていうのはどう？」
キルアは少し考えてから、私の目を見た。
キルア「いーぜ。その代わり、Aが吸血鬼じゃなかったら俺の言うこと１つ聞いてもらう」
それはとても面白そうだ。
「いいよ、キルアが証拠を見つけた時、願うなら世界征服だってしてあげよう」
深入りしてはいけない、今もそう思っている。けど、深入りの意味を履き違えてはいけない。ただ単に同じ時間を過ごすことではない、個人情報を知られることでもない。私が言う深入りはきっと、
キルア「ま、証拠はゆっくり見つけていくよ」
立ち上がり、人混みに消えるキルアを見送った。それから、近くで私をずっと見ていた人物と目があった。
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ナツメ(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます！奈乃さんからのお言葉を励みに頑張ります！ (2017年8月21日 18時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
奈乃(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2017年8月21日 18時) (レス) id: 26a98954d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2017年8月2日 12時
